変貌を遂げるオランダ五番目の都市
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アイントホーフェン~ローマ行き航空券の日付は2009年11月24日。ライアンエア9616便のチケットに搭乗者氏名は印字されていない。そして座席番号もない。早めに搭乗手続きを済ませて並べば一番前の座席を確保できるのだから足を延ばせて楽チン快適。空港が小緊まりしているのも当然。アイントホーフェン市の人口は二十万人強。オランダ国の憲法が定める首都はアムステルダム。およそ七十五万人が暮らしている。港湾都市のロッテルダム六十万、行政面の首都として機能しているハーグが五十万、そしてミッフィー誕生の地ユトレヒト三十万人の更に下五番目。周辺の自治体を含めても都市圏の人口は七十万人程度。アムステルダムまで列車で一時間半、ベルギー第二の都市アントワープまでなら90キロ。車を飛ばせば一時間もあれば着く距離。そんなわけで、今回八枚の写真の半分以上は十七~八年前に撮影したものになる。
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空港から市内まで走るリムジンバスが「何でこんなに(十五年以上前なのに)スタイリッシュッ?」とレンズを向けずにはいられない。革新的な公共交通システムとして脚光を浴びたのはフィリア:Phileas。路面電車=トラムの定時性&輸送力とバスの柔軟性&低コストを兼ね備えたニュータイプとして欧州だけでなく世界で注目された車両である。バーチャルレールを走るタイヤ付きトラムは近未来的なデザインだけが売りではなかった。アイントホーフェンで導入された初期モデルには、LPG(液化石油ガス)発電機と電気モーターを組み合わせたハイブリッド駆動が採用されていたのである。
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その後ディーゼル·エレクトリック方式への変更や、水素燃料電池を搭載したモデルなどの実証実験を繰り返している。オールホイール·ステアリングを用いることで全車輪が連動して操舵されるため、長い車体でありながら狭い交差点やカーブでも、先頭車両の軌跡を正確にトレースして曲がることが可能な優れもの。また停留所に正確に幅寄せして停車できるからプラットフォームと車両に隙間が生じない。従って車椅子やベビーカー利用者にはとても有難い高度なバリアフリー性。これは世界に普及する技術と思っていたら、なんと磁気誘導システムやハイブリッド駆動系に技術的なトラブルや故障が多発してしまう。また専用の車両やインフラの維持費が高額となり、「だったら普通のバスと運転手さんに任せよう」と効率性を重視たら元の鞘に。まあ、このエピソードもオランダらしい。そして車両を開発していたAPTS社は、’14年に破産するオチまでつく。空港から市内に無事たどり着けたし、今となっては貴重な車体をフレ-ムに収められたから幸運だったのかもしれない。