【プレナスなでしこリーグカップ2部・グループB第4節】
開催日:2017年6月25日(日曜) 13:00 KICK OFF
会場:ウインク陸上競技場(兵庫県)
観客動員:482人
ASハリマ 1-2 C大阪堺L
【得点者】<ASハリマ>葛馬(47分)
<C大阪堺L>松原志歩(78,88分)
なでしこジャパンの高倉麻子監督が視察にやって来た。それも首都圏ではなく、兵庫県姫路市で開催された、プレナスなでしこリーグカップ2部のグループリーグの試合に。
前日に奈良県・橿原市にて地方開催された、プレナスなでしこリーグカップ1部・グループB第5節、INAC神戸レオネッサvs伊賀フットボールクラブくノ一の試合を視察されていたため、「もしや?」の予感もあったものの、近畿圏内の2部のカップ戦に足を運ばれるとは・・・思っていた。
それもそのはず、高倉監督は昨年のFIFA-U20W杯パプアニューギニア大会でも指揮を執っており、同大会3位入賞を果たしている。現在のなでしこジャパンは同大会へ出場したDF市瀬菜々(マイナビ・ベガルタ仙台レディース)・北川ひかる(浦和レッドダイヤモンズ・レディース)、MF隅田凛・長谷川唯、FW籾木結花(3選手共に日テレ・ベレーザ)・上野真実(愛媛FCレディース)が定着し始めている。
この日のアウェイチーム=セレッソ大阪堺レディースには、同大会へ出場したMF松原志歩やMF林穂之香ら3選手が在籍。また、昨年はその1世代下のFIFA-U17W杯ヨルダン大会でも準優勝したU17日本代表メンバーに、現在のなでしこリーグ2部で10試合11得点と得点女王を独走するFW宝田沙織やDF脇阪麗奈ら4選手を派遣。宝田や脇坂・林・北村菜々美は7月2日からのU19日本代表の合宿にも招集されている。
そして、ホームのASハリマ・アルビオンも負けていない。昨年3月に高倉監督が指揮を執ったU23日本代表でラ・マンガ国際大会(スペイン)へ出場したFW千葉園子はその後、なでしこジャパンにも継続的に招集された。また、ラ・マンガの時期にはアンジュヴィオレ広島に所属していたFW葛馬史奈は、今季得点ランク2位タイの6得点を挙げてチームを牽引する存在へと成長を遂げている。
高倉監督がなでしこジャパンの指揮官へ就任して約1年が経過した現在、2部所属の選手が代表へ召集されるのは「普通」になった。自らが蒔いた種が開花する様子を見るかのように、「みんな凄く上手くなって成長していますね。」と関係者に笑顔で言葉を残した高倉監督。そんな代表チームの指揮官へアピールしたのは誰だったのか?
大胆な強化策を採ってカップ戦を戦うハリマ~C大阪堺L戦はターニングポイントマッチ!
そうは言ってもこの日の試合はカップ戦。リーグ戦で出番が少ない選手や、どうしても場数を踏ませたい若手選手、試しておきたいシステムや戦術を実戦で強化し、8月後半から再開されるリーグ戦へ向けて各チームがもう1段チーム力を上乗せしたい意向が反映される。しかも、この日対戦するハリマとC大阪堺Lは、リーグでもそれぞれ4位と2位。来季の1部昇格を現実的に狙える位置につけて中断期間を迎えたため、結果はもちろん、シーズン後半戦へ向けたチーム作りが問われる時期でもある。
そんな中、セレッソ大阪堺Lはカップ戦に入って右SBに14歳の中学生・善積わらいを先発に抜擢し、GKにも変更を促しているものの、この日の先発メンバーの平均年齢17.4歳という極度の若手偏重のチーム編成はいつも通り。継続して主力組を固定し、FW宝田は3試合で5得点、MF松原志歩は3試合で2得点と好調をキープし、チームも3戦全勝でグループBの首位を走っている。
一方、リーグ戦でも追う立場のハリマは、リーグ戦中断前ラストの試合で、そのC大阪堺Lに1-4と敗れて以降、大胆なチーム強化策を図って来た。
公式戦となるカップ戦にはそれまでのリーグ戦で出番の少なかった選手中心の編成で挑み、ここまで1勝1敗。そして、主力組にはなでしこリーグ1部のチームや男子高校生チームとの練習試合を組み、より高いレベルでの実戦感覚を養わせた。
さらに普段はフルタイムの仕事をこなす選手を中心に構成されるハリマは練習時間が夜になるため、どうしても涼しい環境でのトレーニングとなる。そのため、この夏日が続く現在、夜とはいえ、ウイングブレーカーを着込んで日々のトレーニングを行う事で、この時期のデーゲームへの耐性を上げて来た。