Foot ball Drunker 〔74〕visiting 『Guldensporen Stadion』コルトレイク/ベルギー

アウェーのシント=トロイデンVV戦が黒星で、29日強豪アンデルレヒトを迎えてホームゲームは、トミスラフ·キシュ:Tomislav Kiš【1994年4月4日生】をベンチに下げ1トップに布陣変更。


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上写真はリトアニアのジャルギリスでプレーしていた2019年に撮影。現在キシュはボスニア・ヘルツェゴビナのHŠKズリニスキ・モスタルに。

ルクセンブルグ代表のマクシム·シャノ:Maxime Chanot【1989年11月21日生】もナンシーの出身。登録されたメンバーの中で最も多いのが仏国籍だったからコルトレイクらしい。

プレス席最終列に腰を降ろし撮影した選手入場後キックオフ前。白地に赤の十字がイングランド国旗にしか見えない。


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ネーデルランド=オランダの南部フランドルは11世紀当時、イングランドから輸入した羊毛で繊細産業が発達するなど両国の関係は深い。現在のコルトレイクはリネン(亜麻)産業で知られる。

14世紀初頭フランスの侵攻時、イングランドと同盟を結び対抗するも力及ばす。1300年、フランドルはフランスに併合された。しかしフランドルの都市同盟は圧政に対して武器を手に立ち上がる。1302年の7月11日、欧州戦史に名を残す「黄金の拍車の戦い」。

フランス国王軍をフランドル庶民軍が撃退し独立を勝ち取る。騎士団=個の力を上回る相手に組織戦術とホームアドバンテージを活かした歴史的大番狂わせ=ジャイアントキリング。実際のところは騎士道を重んじる相手に無作法=ナンでもありのえげつない戦法が功を奏したのだが。


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1667年フランスが侵攻、フランドルの都市シャルルロワ、リールが包囲され、陥落したリールやコルトレイクなど12都市がフランスに奪われる。18世紀後半ナポレオン没落後、オランダがフランスから独立。ベルギーもフランスの影響下から分離させる目的で、オランダに併合されてしまう。しかし1830年ベルギーにおいてワロン人が決起。オランダから独立を宣言。政権鎮圧に動くオランダ軍、その際ベルギーを軍事支援したのはフランスだった。

グルデンスポーレン·スタディオンは6900人収容のスタジアム。空席は見当たらず熱気に包まれていた。


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 激動の歴史に翻弄され続け、今は国境を挟んでいても大都市圏を形成するリールとコルトレイク。13世紀に建てられた前世界遺産ベギン会修道院。レイエ川ほとりブローエル塔には14世紀要塞の面影が残る。町の中心グラン·プラスにある市庁舎は16世紀に再建されている。そして西フランダース州最大の市立劇場Kortrijkse Schouwburg(上写真)。フラマンの街の景趣からは歴史の風情を感じる金拍車の都市は、社会経済において国境が消滅するボーダレス時代の最先端を走る。[第74話了]


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