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天皇杯4回戦、ガンバ大阪VS川崎フロンターレ 〜パトリックとGKの使い方でガンバ大阪が快勝

 この試合の2得点目は倉田の50m以上ものドリブルシュートという超絶技巧が注目されるだろう。しかし、パトリックの”個人能力に頼る”というニュアンスではなく、彼の”存在を活かす”という方法から生まれた知性的な得点だった。パトリックがもし右サイドに流れていたら、倉田がいくら両足で蹴れる選手とはいえ、50mもの長距離をドリブルで持ち込んで負荷がかかっている状態から、利き足ではない左足でシュートを放たなければいけなかった。その部分で、パトリックの動き出しは倉田の特徴も考えた上で最適で、倉田もパトリックという突出した”個”の存在を利用した上で自らのドリブルやスピードを活かした知的な”判断”から生まれた得点だった。この日のガンバ大阪にとっては、約束事で雁字搦めになるのではなく、個人やコンビの”自立した判断””脱皮”して奪った追加点こそが収穫だった。

 川崎は前半の30分過ぎから中盤のパスワークでプレッシングの逆を突く攻撃から好機を演出。MF中村憲剛やFW大久保にも決定機があり、後半は特にFW杉本が前線を牽引してフィニッシュにまでは到達していた。しかし、ここで”違い”になったのはガンバ大阪のGK東口順昭。

如実に出たGKの差~川崎の課題はGKの役割や人選

 日本代表へ招集されていながら、先週末のサンフレッチェ広島とのリーグ戦で負傷交代。代表招集を辞退したにも関わらず、先発フル出場した”裏ワザ”には賛否が問われるものの、川崎FW杉本のスケールの大きさを感じさせるフィニッシュを難なくセーブ。また、川崎がパスサッカー志向のチームを作り上げながらも、後方のビルドアップにGKの新井章太が絡めない中、東口のフィードの正確性は先制点の起点にもなっており、”GKの差”が大きく勝敗に出た試合だった。

 敗れた川崎は来季のACL出場権獲得の可能性が消滅。とはいえ、本職のCBを1人も使わないで最終ラインから丁寧にボールを繋いでいく風間監督の志しの高いサッカーは継続されるべき。それならば、戦術的にGKもパスワークに組み込むディティールの部分での新たな引き出し、またはGKの補強が”風間サッカー”の完成形に近づくのではないだろうか?

 ビルドアップの中での「GKの使い方」はもちろん、2013年の前半戦はパトリックが在籍していながら活かしきれなかった川崎。まさに「パトリックとGKの使い方」が勝敗を分けた。

 また、得点を挙げた大森と倉田は誰よりも攻守に奮闘していた。得点はその頑張りへのご褒美だったのかもしれない。