Foot ball Drunker 〔69〕visiting 『Eyüp Stadium』イスタンブール / トルコ

そして約一月後に100万ドルの配当金を受け取る。短期間での高利益にギャラリーオーナーの友人から400万ドルを借り、再びエルザンに渡した。エルザンの要求はエスカレート、トゥランはエユップ·シュトリュツェに所有する土地を400万ドルで売却し工面する。極めつけはデニズ銀行からトゥランに3,300万TLを融資、同じようにドルでエルザンが受け取ったところで《ねずみ講》は破綻。


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イスタンブール首席検察庁が開始した捜査によると、架空の基金の受け渡しはすべて現金。銀行の記録になく被害者の訴えで4月7日にこの取引を知った同行は三日後に内部調査ファイルを検察庁に引き渡しており無関係を主張。

プライベートでは悲惨なトゥランではあるが仕事は絶好調。開幕から五連勝で首位に躍り出るとその座を15節まで譲ることなくウインターブレイクまて残り一試合。


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快進撃の立役者は、ヘントからシント·トロイデンVVに貸し出されていたジャンニ·ブルーノ:Gianni Bruno【1991年8月19日 生】。昨季ジュピラープロでの18得点は、上田綺世:Ayase Ueda【1998年8月28日生】に次ぐ得点ランクベルギー3位。その実力は折り紙つき。
2節途中出場でアシストを決めると5節からスタメンに定着。7得点3アシスト。ベルギーとイタリアの二重国籍ながらフランスのLOSCリールユースで得点感覚を磨き2011年のU-21欧州選手権予選でも2得点。


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中盤の守備で存在感を示したタシュキン·イルター:Taşkın İlter【1994年7月5日生】。ドイツ·ベルリン生まれのアゼルバイジャン代表。

写真は11月5日第11節のアダナスポル戦を取材。先制されても動じることなくブルーノが同点弾、イルターはアディショナルタイムに四点目をアシストし攻撃面でも貢献。試合後サポーターに向かってトゥラン監督は胸に手を当て一礼。そのカリスマ性に引っ張られ連勝は年明けまで続きそうな気配。


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10月の起訴状によると18人の被害総額は約4,400万ドル。何人かの投資家に利益から一部を支払ったが、大半は返済されていないらしい。
捜査は治安総局詐欺局ではなく組織犯罪総局が行っているが、これだけの大金が何処に消えてしまったのか?
池井戸作品であれば、主人公が『倍返しで」大金を取り戻してくれるのだがフィクションのようにはいかないのが厳しい現実。
「人を見たら泥棒と思え」とはよく言ったもので、古今東西、詐欺をする輩は後を絶たない。[第69話了]


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