手ぶらで乗るならライアンエア 乗ったら寝るだけライアンエア
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マイレージに限らずポイントを貯めるのが苦手な性分。東京と欧州各都市を往復する際もJALや全日空を利用したのは数える程度。国益度外視の非国民で申し訳ないが、できるだけ多くの航空会社を利用したい派。従ってこれまで最も多く利用した航空会社となると、欧州の都市間移動でチケットを手配した格安航空会社、アイルランドのライアンエアか、ハンガリーのWIZZの何方か。自分のようにバックパックひとつで旅をするトラベラーにお薦め。かつては座席が自由だったので一番早くチェックインすれば最前列のシートが確保できる。EU圏内は出入国審査が省かれているから着陸後速足でターンテーブルを横目にロビーまで十五分程度で抜けられまりもした。
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軍用機を使ってギリシャからリトアニアに向かうライアンエア機をミンスク空港に強制着陸させたのは2021年の5月。機内に爆弾が仕掛けられていると嘘の情報を流したのはポーランドに亡命しようとする反体制派活動家の拉致目的だったから、やる事がえげつないベラルーシ政府。この暴挙に対して活動家の母親はポーランドの首都ワルシャワでの抗議集会において、EUとアメリカに救済を呼びかけた。EUはこの事件以降ベラルーシの航空機によるEU域内の飛行及び各空港への離着陸を禁止している。
欧州唯一の異端 空賊国家の独裁者
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愛好者が少ない日本人の間でもライアンエアの名前が知られることになるが利用者が増えたかは定かでない。しかし二ヶ月後の東京五輪、ベラルーシ女子陸上代表のポーランド電撃亡命劇で《欧州最後の独裁者》の唯我独尊·非道ぶりに多くの日本国民が怒りを覚えたのは間違いない。そんな空賊国家ベラルーシで拘束されていた日本人二人が本年六月釈放された。残る同胞は一名のみ。今回見送られた事で早期の釈放は期待できないのが現状。ご家族等の心痛は如何許りかと察する。
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ミグ29戦闘機が緊急発進し、旅客機を誘導したミンスク空港で見掛けたウェルカムの文字。アエロフロートソ連航空の代理店に勤務していた二十代前半。ペレストロイカ前のソ連で訪問したのがモスクワ、次いでレニングラード(当時)、そしてこのミンスクが自身海外で滞在した三番目の都市になる。白いロシア正教会が建ち並ぶミンスクの街では、ロシア語とベラルーシ語の表記だけだから何もわからない。第話は1980年モスクワ五輪でも使用されたディナモ·スタジアム。2018年リノベーションが完了、式典には暴君アレクサンドル·ルカシェンコ:Alexander Lukashenko【1954年8月30日生】大統領も誇らしげに参列。写真を見る限りクラシカルな外観は維持されていて、モダンな屋根とのミスマッチが秀逸。
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但し筆者が最後にこのスタジアム訪問したのは’12年からの改修工事の直前。プラットフォームにはポーランド語でペロン。ロシア語ではперрон。ベラルーシ語だとперон。英語を含め三国の言語が並んで表記されるのはテレスポール駅。このホームを撮影したのは’19年。ミンスクの新装スタジアムとブレストでの試合を取材しようと九年ぶりのベラルーシ訪問を計画した。この時ばかりは自分の阿呆さ加減に呆れて開いた口が塞がらず取りあえずビールを流し込んだ。
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入国拒否でポ-ランドへとUタ-ン 尋常ではない入念な車両検査
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実はポーランドのワルシャワからブレスト終点のバスに乗ったら何と入国を拒否された。ロシアは観光VISAを要するがこの国は無査証で入国できるはず。why? 軍服姿の二十代男性から流暢な英語で説明を受け絶句そして納得。査証なしでの入国はミンスク空港利用時のみ。陸路では査証が必要だと。確かにスマフォで在ベラルーシ日本国大使館HPを開くとその旨記されているではないか。さて、この後はどうなるのか。「ちなみに邦人が拘束されたとか罰金を科されたとの事例があります。」とある。
ドキドキ、そして何故か少々わくわくしたのだが何のことはない。まだ入国前なのだから罰金はないだろうと踏んでいたら、軍服男性に通訳をしてもらい、ポーランドへ逆戻りのヒッチハイク。バスには断られたが乗用車を運転する男性Aさんが助手席に乗せてくれた。日本人と会ったのは初めてだと上機嫌。赤信号で止まるたびに、SNSで「日本人が俺の車に乗っている」と発信しているではないか。それにしても驚かされたのはポーランド入国時の車両検査。後部シートは剥がし、隅から隅までとことん探す。何も出てくるはずがないのに。結局国境を超えるまで二時間以上待たされる羽目に。
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