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『働いて×5』も『政権交代』もいまひとつ 大賞は『歴女』でよかった十六年前
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本年の流行語大賞は首相の発言『働いて×5』に決定したと先週の報道。流行った気もしないし決める必要があるとも思えない。
多分、流行なる言葉そのものが死語。価値があるように思えない。首相の発言が取り上げられたのは2009年の『政権交代』」以来、十六年年ぶりとなる。この年ノミネートされた候補に歴史好きな女性を指す『歴女』が含まれていた。それまで中高年男性の趣味と思われる分野に興味を示す女性が増えてきた元祖といえば『鉄子』。女性鉄道ファンを指す言葉としてが定着したのは2000年代以降。中高年男性は若い女性と共通の趣味で盛り上がりたいかもしれないが女性はこれっぽっちも望んでいない。おそらく。
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ブダペストからセゲド行きの列車に乗りケチュケメートに向う途中、ツェグレードの駅で下車した。時間を持て余し、とりあえず駅舎内のベンチに腰を降ろし1850年発売されたアラニアーソクビ-ルで喉を潤す。駅前に展示されているのは少しだけ後の時代に製造されたMÁV275.118式。かつて産業技術変革の象徴とされた蒸気機関。1863年ロンドンに世界初の地下鉄網が誕生した。約十年の間に欧州大陸の主要な路線が構築され、1896年ブダペスト(※当時はオーストリア=ハンガリー帝国)でも地下鉄が導入され、新時代の幕開けに人々は心を時めかせた。時めくなる言葉は、このように”胸を踊らせる”的な意味の他に、時流や流行の流れの乗るの意味もある。例文をあげるならば「今を時めく日本代表プレーヤ-」。
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ツェグレードはブダペストの北東七十キロ。人口は三万五千人程度。日本では「市」になる条件が五万人なので、ツェグレードDVEは町民のクラブ。黄パプリカの名産地として知られるこの地域。近年日本の食卓でも頻繁に見かけるようになった鮮やかな色彩の野菜はハンガリーで品種改良され、世界に広まった。ツェグレードDVEのチームカラーもイエロー。創設は1935年。クラブ名の「VSE」はマジャール語で”鉄道職員のスポーツクラブ”を意味している。
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パプリカたっぷりのグヤ-シュこそ
ハンガリーの味
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パプリカを使った代表的な民族料理といえば具沢山スープのグヤーシュ。牛肉、玉ねぎ、じゃがいも、人参とお馴染みの具材。調理方法は、各家庭で千差万別。我が家オリジナルが一番美味いと思えるのは日本のカレーライスと同じ。ハンガリーの食堂で聞いたレシピによると、緑パブリカ、黄パブリカ、辛いパブリカ、パプリカパウダーと複数のパプリカをこれでもかと使う。アジアの遊牧民族のマジャール人が野外生活で食べていた伝統の料理らしく、このグヤとは「牛飼い」を意味する。停車間近に、進行方向右側に真新しいスタジアムのスタンドが見える。横のサブグラウンドでプレーする姿は見かけても、スタンドの周りは作業員しかいない。
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日本でもハンガリーでも横転する時は横転するのがクレーン車なのか
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第98話はジェンゲッレール·ジュラ シュポ-テレップ:Zsellengér Gyula Sporttelep。1926年に建設されたスタジアムは老朽化が激しく、全面リニューアルすることに。2015年に入札の結果ケチュケメートの業者が請け負い、改修工事に着手する。2018年の1月19日には、終了する予定だったのだが。17年5月にはクレーン車が横転。写真を見ると翌年四月名古屋で解体作業中のクレーン車がバランスを崩した事故と似ているが、幸い共に負傷者はなし。その後施設内の排水システムの問題が判明。沈殿物を取り除くことができず、その結果、建物の大部分が降水中に浸水した。この排水問題はにより工期は百五十日も延期され三千七百万万ユーロの追加予算が組まれた。
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