前半の32分。セレッソ大阪の陣内深くに進入した横浜マリノスですが、ゴール前が空いていないと見るや、バイタルエリアに一人陣取っていた10番の中村俊輔に一旦ボールを戻しました。
中村俊輔は即座にシュートを選択するも、ボールはゴールの枠を捉えませんでしたが、鋭いシュートでした。
彼はキックの精度という武器を持っているだけに、セレッソ大阪からすれば、あわやといったシーンだったでしょう。
ただ、ここで観るべきは、その前の中村俊輔の動きです。
彼は以前にスコットランドのスコティッシュプレミアリーグで年間MVPを取っており、これは、どんなに頑張っても、キックの精度だけでは取れないのです。
さて、その動きですが、セレッソ大阪ゴール前に、雪崩れ込むように進出した横浜Mの選手たちの中で、一旦壁になってワンツーを返した中村俊輔は、一人だけバイタルエリアに留まったのです。
そして、戻されたボールをシュートにいったわけですが、本来の狙いはむしろ、こぼれて来たボールにいち早く届く位置にいることであったように思います。
ですから、セレッソ大阪のクリアを封じる役目も兼ねており、味方が戻そうが、ボールがこぼれて来ようが、結局はシュートを打ったのです。
30分にはセレッソ大阪13番の南野拓実が右サイドでボールを奪い、そのままショートカウンターを繰り出しましたが、これは横浜MのDFに阻まれてゴールならず。
ただ、このとき、同33番のカカウが恐ろしいスピードでゴール前へと詰めていましたので、1点を奪取してもおかしくありませんでした。
横浜マリノスはその後も中村俊輔を起点にC大阪陣内へと攻め込みますが、ゴールを奪うことは出来ず。
これに対してセレッソ大阪は、コーナーキックに23番の山下達也がDFとやり合いながらも飛び込み、強烈なヘディングシュートを放ちましたが、惜しくもポストへ嫌われました。
中村俊輔はこのとき、自陣のゴールライン上におり、一番危険なところを塞いでいました。ヘディングシュートはセレッソ大阪の選手に当たった為にコースが変わり、結局のところ、意味がないように観えますが、彼は、そういった、危機察知能力も図抜けており、ボール扱いだけと揶揄された選手ではなくなりました。
その後もセレッソ大阪がロングシュートを放てば、横浜マリノスも11番の斎藤学がセレッソ大阪ゴール前でドリブルを仕掛けたり、とてもスピーディでダイナミックな試合でした。