Foot ball Drunker 〔105〕visiting 『Stadio Alberto Picco 』ラ·スペツィア/ イタリア

寧ろこの日の試合からセリエBの特徴を述べるならベテランの存在感。写真の背番号30ニコ·プルツェッティ:Nico Pulzetti【1984年2月13日生】前年まではボローニャFC=セリエAでプレー。この日は4-1-2-3左ハーフでも、本来はレジスタ(イタリア語で演出家を意味する)タイプの選手。精度の高いパスを駆使して試合のテンポをコントロールするのが持ち味。’21年引退して現在はセリエDのクラブ、FC Calvi ノアーレの指揮を執る。


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一方ASチッタデッラのインコントリスタはマヌエル·イオリ:Manuel Iori【1982年3月12日生】。この日は上からストッキングまでイエローのアウェーチーム。スパイクと左腕に巻かれた腕章の青が90分を通して目についた。堅実な守備の要は、いかにもイタリア人プレーヤーの趣。こちらも’21年引退。現在はチッタデッラのユースコーチを務める。


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ジョゼに限らず世界で最も首をキられやすい職業とされるイタリアクラブの監督職。
4~5試合勝てなければポンポン肩をたたかれることもなくクビを宣告。そうなると経験豊かな計算できる選手を起用せざるを得ない。使い続ければ20歳の若手が成長すると解ってはいても指揮官に時間的余裕はないのだから。


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このシーズンのカンピオナート·プリマヴェーラ《ジローネA=北部》は、優勝こそラツィオU19に譲ったがフィオレンティーナU19は、1勝ち点差の2位で決勝ラウンドに進出。3位サンプドリアと4位エラス·ヴェローナがプレーオフ最終ラウンドへの権利を確保。スペツィアは、4勝14敗8分で12位ながら若手の育成に力を入れ始めてはいた。
注目すべきは、外国人選手の保有数。フィオレンティーナの19人と突出した数字は、この年代からスカウトの眼が海外に向けられているのを証明している。続いて多いのはサンプドリアの15人。二桁越えは、ラツィオとチェゼーナ(共に13)の計四クラブ。
この当時のフィオレンティーナから、先日マンチェスター·シティ戦でも奮闘したオランダ人ディフェンダーのケヴィン·ダイクス:Kevin Diks【1996年10月6日生】(FCコペンハーゲン)やパナシナイコスFCの守護神、ポーランド代表バルトウォミェイ·ドロンゴフスキ:Bartlomiej Dragowski【1997年8月19日生】が巣立っている。


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2019年からの2シーズン、フィオレンティーナのトップで守護神を務めたドロンゴフスキは、2022年セリエA初挑戦のスペツィアへ
と移籍。ウィンターブレーク中、足首の手術の影響で年明けの1試合こそベンチから外れたが34試合イーグルスのゴール前に立ちはだかった印象がファンの脳裏に刻まれている。この冬アテネの強豪への移籍もレンタルなので、再びセリエの舞台でスぺツィアのユニフォーム姿を見れるかもしれない。

目先の勝利にばかり拘るのはセリエBやレガプロでも同じだから、
最早この国の伝統。そして大きな問題点を挙げるならば、プリマヴェーラの上に年齢別カテゴリーの経験を積む場がない。この2016-17シーズン、イングランドではU-21プレミアリーグをプレミアリーグ2と改名している。
前述のパナシナイコスとオリンピアコス、AEKアテネとPAOKの四強が、スーパーリーグ2(二部)に若手主体のリザーブチームを参加させているのはオランダと同じ。