65〗Šiška Sports Park / リュブリャナ

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一昨年、母国協会からコーチング教育委員に就任を依頼されたヴェルデニック。しかしUEFAが七十歳以上の高齢者の役職就任に反対する提案を採択したことで解任されてしまった。それでも同胞がUEFAを束ねる名誉ある立場に就いていることは嬉しく、誇りに思っているらしい。

第二の母国でも解任劇 賢者に見る
散り際の美学

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かつてスロベニア国内で自分は尊敬されていないと公言したプロフェッサーは日本で自身の仕事、特に知識への高い評価を母国で満足気に語っていた。指導のため来日したら逆に多くのことを学んだとも。日本のクラブでは最高責任者である監督に対する誠実で信頼に満ちた態度に感銘を受けたという。スロベニアでは全く逆で軽視され、軋轢が生じクビが飛ぶ。日本で監督という言葉は権威の象徴でありながら、非常に公平な国民性からか監督と選手が互いを尊重し声を荒げるようなことはなかったと振り返る。それだけに大宮アルディージャでの電撃解任は寝耳に冷や水、衝撃的で胸とあたりが痛くなったが今更蒸し返したところで何も出ない。Jリーグ創設以前から日本のサッカーの発展に貢献してくれた恩人にはただ感謝するのみ。
「巨額の資金を投じながらも一貫性のない中国とは異なり、ゆっくりと進み、焦らず、忍耐強く真剣に、そして賢明に日本はサッカーに取り組んでいます。私は日本代表が二十年以内に世界チャンピオンになると考えています。」
この言葉を耳にしてから十年以上の歳月が過ぎた。プロフェッサ-の予言では’34年のサウジアラビア大会で日本が優勝するはずだから、これからも健やかに暮らし是非八十五歳のご自身の眼で予想が当たったのかを確認していただきたい。〖第六十五話了〗
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⏹️写真/テキスト:横澤悦孝