新たな船出を迎えるなでしこジャパン~高倉新監督のサッカーとは?
リオディジャネイロ五輪アジア最終予選敗退から約3カ月。なでしこジャパンが再び動き始めた。「絶対的世界女王」アメリカとの敵地での強化試合が、現地時間の2日と5日に予定されている。
リオ五輪予選敗退を機に、2011年のドイツW杯優勝へ導いた佐々木則夫監督が退任したなでしこジャパン。新監督には満を持して、U20女子日本代表の高倉麻子監督が就任。今年11月にパプア・ニューギニアで開催されるU20W杯へ出場が決定しているU20監督と兼任する形になる。
5月20日、その高倉新監督が選出した20名の”新生なでしこ”のメンバーが発表された。
(※が代表初選出)
【GK】山根恵里奈(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)、池田咲紀子(浦和レッドダイヤモンズレディース)※、山下杏也加(日テレ・ベレーザ)
【DF】有吉佐織 (日テレ・ベレーザ)、宇津木瑠美 (モンペリエHSC/フランス)、川村優理(ベガルタ仙台レディース)、熊谷紗希(オリンピック・リヨン/フランス)、佐々木繭(ベガルタ仙台レディース)※、村松智子(日テレ・ベレーザ)
【MF】阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)、中島依美(INAC神戸レオネッサ)、杉田亜未(伊賀フットボールクラブくノ一)、高木ひかり(ノジマステラ神奈川相模原)※、千葉園子 (ASハリマアルビオン)※、中里優(日テレ・ベレーザ)※、増矢理花 (INAC神戸レオネッサ)
【FW】大儀見(永里)優季 (1.FFCフランクフルト/ドイツ)、菅澤優衣香(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)、岩渕真奈(バイエルン・ミュンヘン/ドイツ)、横山久美(AC長野パルセイロ・レディース)
すでに昨年限りで現役を引退していたMF澤穂希やGK海堀あゆみだけでなく、佐々木監督時代の主力であったDF岩清水梓や近賀ゆかり、鮫島彩、MF川澄奈穂美、FW大野忍が選外に。ロンドン五輪から主将を務めていたMF宮間あやは、高倉監督自らが「構想に入っている」とし、コンディション不良から今回は辞退した格好。初招集5選手を含むフレッシュな顔ぶれとなった。
U17W杯では世界制覇も経験し、4年連続で女子アジア最優秀監督受賞中
リオ五輪出場を逃したなでしこジャパンにとって、高倉新監督になって迎える最初の主要大会は2019年のW杯までない。アジア予選に照準を合わせたとしても、少なくとも2年は準備期間となるため、大幅な若返りと新たなコンセプトの導入・浸透が求められる。
そこで日本サッカー史上初めての女性の代表監督となる高倉監督に注目が集まる。筆者も当コラム内で1年前から予想していただけに楽しみだ。
【参考記事】『なでしこJAPANの未来明るい ~U17W杯を制した高倉監督、次期主将候補の宇津木の頼もしい言葉』
高倉監督の現役時代は、あの澤穂希さんが「憧れの存在」とする想像力に溢れた攻撃的MFだった。指導者転向後も、育成年代の指導者とはいえ、2012年から4年連続で『女子アジア最優秀監督』を受賞している。その間、2013年のU16アジア女子選手権優勝に始まり、同じ世代を持ち上がって2014年のU17女子W杯で世界制覇も経験。昨年も同世代を持ち上がってのU19アジア女子選手権で優勝し、今年11月のU20女子W杯でも優勝の期待が懸かっている。
特に2014年のU17W杯では大会全6試合を全勝。10番を着て大会5得点を挙げた主将のMF杉田妃和は大会MVPに選出。そして、6試合で23得点1失点による圧倒的な記録と共に、得点者が12人も生まれる柔軟な采配が光っていた。
ただ、今回の新生なでしこの初陣20人に、その「2014年の世界制覇メンバー」は選出されていない。このアメリカ遠征直前までU20代表として、11月のU20W杯の開催国となるパプア・ニューギニアへ遠征していたからだ。