しかし気付けば佐々木体制は2015年の今も続いており、3年前のアメリカ戦からの劣等感に満ちた精神を持ったままワールドカップに臨んでいる。
☆初戦のボール支配率は45%
日本は初戦のスイス戦に宮間のPKによる1点を守り切って勝利した。そう、守り切ったのだ。そこに前回王者としての力は無く、ボール支配率も45%と相手よりも下回っている。なでしこの良さを引き出すには、ボールを長く持つ意外に無い。
それが初戦のグループステージから下回り、PKというラッキー要素が無ければ勝ち点1からスタートしていた可能性もある。
少なくとも前回大会は挑戦者というスタンスで臨み、前傾的な戦いをしたからこそ優勝を掴み取ることが出来た。それがロンドン五輪決勝を境に少し歯車が狂い始め、今は選手たちのポテンシャルによるギリギリのラインで戦っている。
守りに入って3年。アジアの格下相手には強さを見せてきたが、国際大会で勢いを感じない。絶対的柱だった澤穂希が代表を離れることが増えたのも理由の1つかもしれないが、「お母さん世代」を震撼させた前回大会のようなプレーは見られない。
当然前回王者となったなでしこの戦いは研究され、対戦相手もなでしこのパスワークを真似ようと努力を重ねたことだろう。しかし今となってはなでしこが相手よりもポゼッションに優れているかを判断しづらい。
なぜなら3年前よりなでしこは守りに入っているのだから。敗戦を恐れることなかれ。守りに入るとサッカーには綻びが生まれるものなのだ。少なくとも今のままで優勝できるほどワールドカップは甘くは無い。