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なでしこリーグ2部最終節を前に、想うこと

 大混戦の『プレナスなでしこリーグ2部』も10月28日の第18節=最終節を残すのみとなった。そして本日の最終節は全会場が同時刻のキックオフとなる。

 大混戦とはいえ、すでに3試合を残しての伊賀フットボールクラブくノ一の優勝が決まっている。そして、先週末の第17節の結果により、9位・バニーズ京都SC、最下位となる10位・岡山湯郷Belleの順位が確定した。

 伊賀はなでしこリーグ1部への自動昇格を勝ち取り、逆に、名門・湯郷は来季3部相当のプレナスチャレンジリーグに自動降格することになった。そして、バニーズはなでしこ2部残留を懸け、12月に予定されているチャレンジリーグ2位のFC十文字VENTUSとの入替戦に挑む。(以下の順位表を参照。〇囲みの順位は確定順位。)

 来季チャレンジリーグへの自動降格が決まった湯郷は、「女子サッカーで町興し」に成功したチームだったが、チーム運営面での問題が表面化してからは悪化の一途を辿るいっぽうだった。自動降格は毎年1チームが直面することなので、結果に対しては仕方がない。

 それでも、「女子サッカーの聖地=通称“ラサ”」岡山県美作ラグビー・サッカー場は、趣のある素晴らしいサッカー場。

 そして、そのラサ近くにある『喫茶ゴンベ』。

 選手達も御用達である店内には岡山湯郷Belleに関するあらゆることが日付入りで記録されている。お客さんはもちろん湯郷のサポーターばかりだが、同時に女子サッカー全体のファンであり、元日本代表の主将MF宮間あやによる、「女子サッカーを文化に」、という言葉を最も感じられる場所だ。

 問題は山積みだろうが、湯郷にはチーム再建を果たしてもらいたい。

なでしこ1部との入替戦進出を賭ける4チーム

 そして、なでしこリーグ1部で9位となったチームとの昇降格入替戦進出となる2位の座の行方。こちらが今季のなでしこ2部で最も熾烈を極めている。一時は10チーム中の7チームが勝点3差でひしめく大混戦だったが、最終節を迎えた現在、2位の可能性を残すのは4チームに絞られた。

 まず、最終節を2位で迎えたのは、ニッパツ横浜FCシーガルズ。ここまでの全17試合で10ゴールを挙げ、得点ランクトップを走る元日本代表FW大滝麻未(上記写真:背番号30)が牽引するシーガルズ。シーズン当初は得点も失点も少ない堅守速攻型のチームだったが、大滝の爆発により、独走優勝を果たした伊賀の27得点を上回るリーグ最多の30得点を記録するダイナミックなチームへと進化して来た。

 前節、シーガルズはホームに勝点で並んでいたASハリマアルビオンを迎え、1-0で勝利。2位争いの直接対決に勝ち、2位キープに成功。最終節・スフィーダ世田谷FC戦を有利な状況で迎えた。

 とはいえ、追いすがるチームもいる。昨季なでしこ1部を戦った、ちふれASエルフェン埼玉だ。今季は“昇格請負人” の元日本代表コンビ=MF伊藤香菜子とFW荒川恵理子が3度目のチーム加入。前半戦こそ苦戦したが、今季より就任した菅澤大我監督のサッカーも浸透し、後半戦に入って4勝4分の無敗。確実に勝点を積み重ね、現在3位。シーズン最終盤になって2位争いの本命にまで押し上げて来た。

 ただ、勝点で「1」差、得失点差で「3」、総得点だと「5」の差があるシーガルズとの差を逆転するには、最終節のバニーズ戦は、もう引き分けでは許されない。シーガルズが4点差以上の負けなら、引き分けでも、ちふれが2位の可能性があるが現実的ではないだろう。

 懸念は、シーガルズも、ちふれも、最終節を敵地で迎えるところだ。

 逆に無敗街道を走りながら、ここへ来てアウェイ連戦を連敗で終え、4位へ後退したハリマはホームで最終節を迎える。相手は5位で、ハリマと共に2位の可能性を残すオルカ鴨川FC。

 両チームが2位になるには、シーガルズが敗れ、ちふれが引き分け以下に終わるという条件を前提としながら、自分たちは大量得点での勝利が必須となる奇跡が必要だが、2位の可能性を残しながら唯一ホームで試合を行うハリマには奇跡を起こしてもらいたいところだ。

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なでしこリーグ2部を取材する者として