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アジア杯総括<独断で選ぶベストイレブン>

 今月9日に開幕したアジアカップ2015オーストラリア大会も大詰めを迎えます。当コラムでは世代交代に着手した国が躍進する今大会は興味深いと捉え、日本代表の敗退後も書き綴っております。そして、韓国と豪州による決勝はマッチレポート形式でお届けしたいと思っております。

 今回は決勝まで少し日が出来ましたので、僕の独断で今大会のベストイレブンを選出してみました。条件はあまりなく、基本的には先発出場でレギュラーとしてプレーしている選手ならばOKとしておりますが、詳細は寸評を交えて解説おります。なるべく多くのチームから選出したいとも思ったのですが、如何せん実力差があり過ぎるので無理でしたが、読みながらお楽しみください☆

【アジア杯ベストイレブン】

堅守支える韓国守備陣を中心 攻守の要にはやはり不動の主将

 まず、GKは純粋な能力的には豪州のマシュー・ライアンかオマーンのアリ・アルハブシがアジア最高の守護神だと思いますが、今大会では何と言っても決勝まで無失点を続けている韓国の守護神であり、J2リーグ・セレッソ大阪所属のキム・ジンヒョンを選出しない訳にはいきません。けして順風満帆な戦いをしているわけではない韓国が無失点を貫いているのは守備陣だけでなくチーム全体の守備意識の浸透があってこそですが、体調不良で1試合は欠場しながらも度重なる決定機を防いできたジンヒョンの存在抜きには語れません。また、ライアンはここまで攻め込まれるような試合が皆無だったこと、アルハブシはチームがグループリーグで敗退しているため、異論もないでしょう。

 CBには、攻撃的なサッカーを披露している豪州の後方を支えるトレント・セインズベリーが1番手。攻撃志向が強く前がかりになるチームには的確なビルドアップ能力はもちろん、読みが鋭く、1対1を“個”で奪えるDFがいないと成立しません。彼はそれを高次元で成し遂げており、近い将来のビッグクラブ候補生と言えるかもしれません。今大会前まではキャップ数僅か4試合の23歳の若手DFですが、すでにオランダのズヴォレ(昨季国内カップ優勝)でプレー。アーセナルのフランス代表DFローラン・コシールニーに似ており、速さにも高さにも強さを発揮できる稀少価値の高いDFです。180cmと欧州では小さい部類になるので、そこが危惧されますが、今大会も全試合フル出場中とタフな選手。セットプレーからの得点源にもなれるので、緊迫した試合展開になるであろう決勝でも大きな期待を背負う彼に注目してみて下さい。日本が育成すべきCBの理想像と言えるでしょう。

 CB2番手には無失点が続く韓国のカク・テヒ。フィジカルが強いイラクの“若きDFリーダー”イブラヒムも前へ強くて選出に値すると思いましたが、良い結果が出ている事と、周囲を動かせる統率力で韓国のDFリーダーに軍配。Jリーグでプレーしている時から凄かったですが、韓国代表のユニフォームを着てると迫力が違います。

 右SBは、長い距離を自ら持ち上がれる馬力あふれるドリブル突破により、攻撃が単調なチームのアクセントになっている韓国の34歳の異色のSBチャ・ドゥリ。もともとはFWの選手なので軽い対応もありますが、未だ無失点と結果は出してます。が、しかし、彼は大会を通して定位置を掴んでいるわけではないので、4試合連続フル出場の酒井高徳を選出。あのスピードは攻撃にも守備にも活かせたや両足を使える事。また、CBのカヴァーもこなすなど試合を経るたびに成長していく過程が観れたので、内田篤人にはまだまだ劣るものの、ピークが過ぎたのか?安定しない長友佑都に替わって今後は左SBに入る事もありでしょう。

 左SBも韓国からキム・ジンス。こちらも単調な攻撃陣や大会序盤は体調不良のエースFWソン・フンミンを後方からサポート。サイド攻撃やセットプレーのキッカーとして彼の左足は大きな武器に。アルビレックス新潟の昨季後半の失速の原因を象徴するかのような高いパフォーマンスだと思います。

 MFは負傷で2試合を欠場した豪州の主将ミレ・ジェディナックは次点。選出したのは日本の主将・長谷部誠。短期間でハビエル・アギーレ新監督の意図を理解した事や、その監督の八百長疑惑の中で動揺を誘うマスコミ相手に彼の存在は大きかったはず。もちろん、ピッチ上のリスク管理も的確。後方からのビルドアップが整理されて今までの日本代表よりも縦パスが通りやすくなっている事や、2次攻撃を仕掛けたり、相手のカウンターの芽を摘んだりするセカンドボールの回収を彼が幾度となくこなした事が、日本の全試合ボール支配率60%超えを支えたと言えるはず。実は日本は遠藤保仁の後継者よりも、長谷部の後継者の方がいない。

 もう1人は中盤と前線を繋ぐという意味で韓国の主将になったキ・ソンヨンを外すわけには行かず。日本人を差別するような仕草をしていたのはもう昔。今ではキャプテンマークを巻いてプレーするチームの大黒柱としてプレー。主にダブルボランチとして出場しているものの、サイドまで開いてリズムを作ったり、ゴール前に飛び込んだりするなどダイナミックなMFに成長している。プレミアリーグでもチームを移りながらもレギュラーポジションを任されているのは自信にもなっている事でしょう。

個性的な攻撃陣が少ないアジアで 少しずつ興味深いタレントが台頭中

 そしてトップ下は「今大会唯一のファンタジスタ」と言えるUAEのオマル・アブドゥルラフマン。視野も広く、判断力も成熟しているため、ワンタッチでのパスも多い。展開力も備えており、キック精度やプレーのアイデアの豊富さで言えば大会ナンバーワンの選手。というよりも1人だけ異色のプレーをしていた。日本の本田圭佑は3得点を記録も、2つはPKで決定機を決めきれない場面も多く次点に。

 攻撃陣にはまず左ウイングに韓国のエースFWソン・フンミンを選出。未だ3得点で体調不良も続いたが、今大会参加全選手の中で個人で“違い”を作り、そのまま1人でゴールまで陥れるタレントはおそらく彼1人。無失点を続ける傍ら、守備意識が強くて攻撃が単調になりがちな中で、彼1人のシュート力、ドリブルでの突破力はもちろん凄まじいものの、その存在感だけで周囲へ与える影響力も唯一無二。所属クラブのドイツの強豪・レヴァーク―ゼンで彼の控えに甘んじている豪州のロビー・クルーゼよりこの点で違いを感じさせる。クルーゼをこのポジションの次点に置きたい。

 もう1人のウイングには豪州のマシュー・レッキー。未だ無得点だが、中央・サイド問わずに積極的にボールを受けてはドリブルで仕掛けられる存在は稀有。ボールタッチも繊細でスピードも抜群。緩急自在で足技も使いこなす彼のドリブルに魅了されてしまいました。彼がいなければ豪州のパスサッカーはかなり味気ないものになってしまうでしょう。こうしたスピードとテクニック、アイデアに優れる選手が豪州から出てきた事は日本にとっては少し危惧しなければならないかもしれません。

 そして、最前線の1トップに入るのは開催国の英雄にしてエースFWティム・ケイヒル。勝ってる試合では60分前後でベンチに下がり、グループリーグ最終戦・韓国戦では先発を外れて温存。実はまだフルパワーで1試合を戦っていないであろう状態で決勝へ挑めるのは強み。準々決勝ではオーヴァ―ヘッドによる1点目と、代名詞である高いジャンプ力を活かした強烈なヘディングからの2点目と美技2発を披露してくれました。「持ってる男」が誰か?と言われれば、彼でしょう。そして、彼に負けずのインパクトを受けたUAEのマフブートをウイング兼備で次点として選出したいと思います。