2014年途中にアッレグリを半ば強引に解任し、その後を近年のチームを支えたセードルフに託したミラン。しかしセードルフは状況を好転させられず、13−14シーズンを8位でフィニッシュ。15年ぶりにCL出場権を逃すという大失態に繋がった。
結局1年もたずに解任されたセードルフの後任には、セードルフと同じく近年のミランを支えたインザーギが就任した。当初は勉強熱心な監督と評価も高かったが、次第にボロが出始めている。シーズン途中での監督解任はあまり得策とは感じないが、私はインザーギを早く解任した方が良いと考える。
果たしてミランの迷走はいつまで続くのだろうか・・・。
☆組織よりも個を重視
2月7日、ミランはユヴェントスに1−3で敗れた。首位を快走するユーヴェと8位〜10位といった中位をさまようミランの対戦とあっては、ユーヴェに分があるのは目に見えている。しかし何よりの問題は、試合へのスタンスと戦術である。
この試合、ミランは4−4−1−1の布陣で臨んだ。4バックの前にボランチのエッシェンとポーリ、右サイドにチェルチ、左にムンタリが入り、トップ下には念願だった本田が入った。1トップはメネズだ。確かに選手が得意とするポジションでプレーさせるのも監督に必要な要素だが、インザーギ政権のミランはあまりにもシステムを変えすぎている。
ミランの低迷が始まった2014年から、多くの選手が加入した。GKのディエゴ・ロペス、CBのアレックス、ラミ。SBのアルメロ、サイドハーフのチェルチ、日本代表の本田、エッシェン、ボナベントゥーラ、ファン・ヒンケル、ターラブト、メネズ、デストロ、そしてチェルシーからレンタルで獲得したトーレスだ。
2014年以降、これだけの選手をミランは獲得し、チームに組み込もうとした。個の力が無いとリーグ戦を制覇するのが難しいのは分かるが、この獲得劇にインザーギの哲学が反映されていない。インザーギはただ優秀な選手をシステムにあてはめて使用しているだけで、戦術性が乏しいのだ。
序盤こそ4−1−4−1を使用していたものの、トーレスが加入すると4−2−3−1に移行し、そして今回のユーヴェ戦では試した事の無い4−4−1−1を採用した。まさに猫の目システムで、選手配置もシステムも一貫性に欠けている。これではチームがいつまでたっても成熟しない。
ここにインザーギの限界を感じるのだ。トーレス、エル・シャーラウィ、メネズ、チェルチ、本田・・・。彼らをいかに上手く機能させるかではなく、彼ら全員を先発で起用する方法を1番に考えてシステムを作っているように感じる。
トーレスをアトレティコに放出してから加入したローマのFWマッティア・デストロも同様だ。デストロは最前線で使う以外に選択肢はなく、そうなればチームを牽引するメネズを2列目で起用するしかない。しかし2列目にはアトレティコから獲得した期待のサイドアタッカー・チェルチもいる。
しかもチェルチと本田は共に左利きで被っており、お互いに得意とするのは右サイドだ。では本田を左に移動させるしかないか・・・。インザーギのシステム論はまさにこうした流れで出来ている。しかしこれは間違いだ。チームはあくまで組織を優先する必要があり、個人に周りが振り回されるのは間違っている。
インザーギには組織が無く、ただフロントが獲得した選手をブロックのように並べているに過ぎない。成績が出ていないとの理由で監督を解任するのはどうかと思うが、チームとしての将来性が見えない場合は解任に踏み切っても良いと私は考える。このまま続けても何も生まれないからだ。
☆左右非対称まで落ちぶれたインザーギ