スタジアムに隣接しているのはロンドンマラソンのコミュニティ・トラック。
最大の特徴である上部に組まれた白いパイプは廃棄材のガス管を再利用しており、ロンドン五輪プロジェクトの象徴でもあった。
◆◆◆◆◆
ハックニーウィック駅から西側はかつて麻薬売買、凶器による路上犯罪が多発した貧困地区のハックニー。元々貧困層が暮らしていた東ロンドン。戦後住民の郊外流出と入れ変わるように移民街が形成された。ウエストハムから東に二駅、UptonParkは旧ホームスタジアムと”Little India Streetで知られるが、おそらく二度と足を運ぶことはない。
◆◆◆◆◆
ヒースロー空港から近いSouthhallなど、インディアンタウンはロンドン市内各地に点在。実際にいくつかのインド料理店に入ったが、確かにカレーは上手い。
80年代世界各地におけるジェントリフィケーションの萌芽期。ショーディッチも今やトレンディの代名詞。化学汚染された土地が放置されたままの重化学工場跡地の活用に頭を悩ませていたロンドン政府にとって地域再生の切り札となったのが五輪開催。
◆◆◆◆◆
結びの写真は、最寄り三駅を示す矢印の上にFの文字。
『悪い人少なからず』で嫌な思いもする欧州蹴球場周りの旅ではあるが、悪質なサポーターを遥かに上回る愛すべき真のFootball Fanの優しさに触れ、一期一会の交流を重ねて来た。今更ではあるが人生において、これ程魅力的な事はなかなか見つからない。[第24話了]
◆◆◆◆◆
◼️写真/テキスト:横澤悦孝 ◼️モデル:土屋麻佑