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日本代表vsブラジル代表 〜結果は惨敗

 その2試合での計4失点が全てDFやGKの個人でのミスが絡んでおり、結果としてそのミスを犯したDF酒井宏樹と坂井達弥は代表メンバーから落選。Jリーグを始め、初めて日本人選手を視察するアギーレ監督の目線と招集リストは素人のようにも見えるものの、自分の目で見た感覚を大事にする事と結果を出しているメンバーを重視するという代表選考において最も重要な要素が反映されています。

 その中で今回は負傷者の影響もあるものの、DF塩谷司、鈴木大輔、MF田口泰士、FW小林悠が代表初招集。前回は脳震盪の経過観察で欠場したMF香川真司や今季からスペインのコルドバへ移籍したFWハーフナー・マイクも代表復帰。他にもGK権田修一、DF西大伍、太田宏介が代表復帰を果たし、負傷者の影響があったとはいえ、前回の招集メンバーから23人中9人が変更となりました。

 このブラジル戦の4日前には新潟でのジャマイカ戦が行われ、先発メンバーにはベネズエラ戦でゴールを記録した柴崎&武藤の新主力候補が名を列ね、結果的にアギーレ体制初ゴール含む2ゴールを生んだベネズエラ戦の後半のメンバーを8人選択。負傷の吉田麻也に替わってCBには初招集の塩谷が先発デビューとなり、その起用法が注目された香川はザッケローニ監督体制でのアタッカーのポジションではなく中盤の位置で起用されてスタート。話題を独占する勢いの武藤は代表初先発起用となりスタート。試合はコンディションの悪いジャマイカを相手に終始日本が試合の主導権を握って再三決定機を作る展開となり、スコア上はオウンゴールの1点のみに終わったものの、アギーレジャパン初勝利となる1-0の完封勝利で終えました。

 その初勝利のジャマイカ戦では最終ラインからのビルドアップや、新しい中盤の機能性や使い方が発見され、結果と共に主軸が固まって戦い方も定まってきた良い試合内容を基に、この日の強豪ブラジル代表(呼称セレソン、以下セレソン)を迎えました。

 アギーレ監督は上記のように日本よりは格下になるジャマイカ戦では新戦力やオプションのテストは行わらず、主力候補の選手を揃えて良い内容を求めてチーム作りの完成度を重視しました。格下相手にテストをしたところで、それを公式戦本番で使える代物ではないという感覚をアギーレ監督は持ち合わせているのでしょう。簡単に言えば、”攻撃の切り札”としてブラジルW杯メンバーに選出したはずのFW斎藤学を起用できなかったギリシャ戦のような消化不良を感じさせる起用法を避けたいとの意向があるのでしょう。
 つまり、アギーレは本当の攻撃の切り札やオプションの選択肢は、公式戦や強豪との試合に置いて有効と見ており、格下から同格程度までの相手に対しては主力を固めて内容やチーム作りの密度を上げる事を選択しています。それが前回はウルグアイ戦での坂井や皆川の抜擢であり、ベネズエラ戦とジャマイカ戦での試合内容重視の戦い方の傾向。この試合ではウルグアイ戦に近いイメージで見る事が良いと思います!!

 そうした背景を下に強豪セレソンを相手にしたこの日の先発メンバーには代表キャップ数が5未満の選手が7人抜擢。アギーレ体制発足から全試合主将を務めて来た本田圭佑や全試合先発出場を続けていた長友佑都、細貝萌も外れました。サイドには太田や小林悠というジャマイカ戦で持ち味をアピールしたメンバーが順当にチャンスが与えられたのとは打って変わり、中盤にはアンカーに田口、インサイドMFに森岡亮太という攻撃に持ち味があるというより守備力に不安がある2人が先発に抜擢された事が不安に感じました。尚、本田不在の先発メンバーではGK川島永嗣がキャプテンマークを巻いてスタートしました☆

【マッチレポート】勝負すら出来ない若すぎたMF陣〜カウンターの餌食となるのは過去2戦と同様も奮闘

 ブラジルは開催国となった今夏のW杯準決勝で、その後優勝するドイツに1-7の歴史的惨敗。3位決定戦でも振るわないままオランダに0-3と完封負けし、ベスト4に甘んじました。とはいえ最新のFIFAランクでは日本が48位なのに対してブラジルは6位と圧倒的に格上のサッカー王国。新監督には2010年の南アフリカW杯でベスト8に終わったものの、コパアメリカ2007とコンフェデレーションズカップ2009のタイトルを獲得していたドゥンガ氏が最就任。現役時代もセレソンの”コラソン”(魂)と言われた熱血漢はJリーグのジュビロ磐田でもプレーしていたために日本でも有名。近年のブラジルには屈強なDFが多いため、ドゥンガは前回就任時と同様に守備意識を高めて”勝者のメンタリティ”を再注入。就任後の3試合でコロンビア、エクアドル、アルゼンチンと南米の3ヶ国と対戦しながら3試合連続の完封勝利でサッカー王国ブラジルの復活の期待に結果で応えています。

 試合の方は日本が何となくボールを持つ、というよりもセレソンがネイマール主体に必殺のカウンターを活かすために、わざとボールを持たせていたようなゲーム運びからスタートしました。そのネイマールは【4-4-2】の変則2トップに入るような位置に入って自由にポジションを取っていたため、これといってマッチアップする選手はおらず。カウンターの際に出来たスペースに入って行く役目を主にこなしていました。

 そうしたゲーム運びとなってはセレソンのMF陣が総じてフィジカル能力に長けていて競り合いが強く、ボール奪取を得意としていました。逆に日本はそのMF陣に代表初先発の田口と森岡が入っており、彼等は攻守に全く勝負できず。ボールを持っているとトラップミスやパスミスを繰り返し、ミスが続けば小さなプレーに逃げようとする悪循環で後手にまわって、しかもそれを相手に読まれている。加えて、2人とも守備能力が低く、フィジカル的にも弱いために簡単に交わされ続けていました。

 特に田口は自分の前でボールを持ったセレソンのMFをシンプルなワンツーだけで背後のバイタルエリアとなるスペースに侵入され続ける始末。司令塔となるべき柴崎もまだ22歳で代表3試合目とあってはこの位置での優位性を構築できるはずもなく、前半は中盤中央部分では1度も良いパスワークも攻撃に繋がるボール奪取もありませんでした。柴崎にアンカーをさせた方がまだ有効だった気もします。

 それでも日本は最終ラインの森重が読みの鋭いカヴァーリングやセレソン相手にも強さを発揮して何とか失点は回避していましたのですが、17分にネイマールの個人技でゴール前至近距離からのFKを献上。この直接FKをネイマール自身が蹴り、ニアポストの上段を直撃。
 GK川島も一歩も動けない美技に圧倒されてしまっては気落ちしてしまったのでしょうか?

 直後の18分でした。セレソンが低い位置からのビルドアップ。中盤に下がって受けたFWジエゴ・タルデッリが、田口を前にして簡単に横パスからのワンツーでバイタルエリアのスペースへ前を向いて侵入。間髪入れずに独特のタイミングで出されたスルーパスに、左サイドから一気に日本のDFライン中央の裏をとって抜け出したネイマールがマーカーの高徳と飛び込んで来たGK川島を右へ外しながら交わし無人のゴールへ蹴り込み、セレソンが先制。0-1。

 21分にもカウンターで中盤のルイス・グスタボから左サイドのネイマールへの縦パスが通り、塩谷と1対1に。フェイントを駆使しながらのコースとスピードの変化(チェンジ・オブ・ペース)で縦へ突破してくるのが分かっていながら止められない塩谷を置き去りにしたネイマールの左足シュートは角度もなく外れたものの、完全に個のレベルの違いを見せつけられていました。

 ただし、前半は日本にも反撃の狼煙が。特に中央部分での劣勢を知ると見るや、両サイドはサイドバックとウイングが連携して奮闘。
 
 24分、左サイドで田中がしっかりととタメを作って攻撃参加した太田を使い、その太田はゴール前へ低く鋭いクロスを供給。その鋭さにスペインリーグ優勝のアトレティコ・マドリーの守備の要であるセレソンのCBミランダがクリアしきれずに流れたボールを、右サイドから入って来た小林が左足を振りぬいた強烈なボレー。外れたものの、太田と小林の持ち味が引き出されては彼等の武器がこのレベルでも通用する可能性を示しました。

 このプレーで自信を取り戻した日本はバイタルでの仕掛けに積極性も出て至近距離からのFKを2度獲得するなど反撃。30分にはFKのこぼれ球を柴崎がミドルシュートで狙う場面も。

 そして35分、ジャマイカ戦同様に攻守に最も闘っていた高徳が高い位置で一瞬抜けてフリーに。これにファーサイドにいた岡崎がニアサイドへ向かって所謂”線で合わせる動き”をし、高徳もこの動きに合わせた速い正確なクロスを供給。ダイビングヘッド気味ながらしっかりと頭で捉えた岡崎のシュートは外れたものの、岡崎の動きによりゴール前のスペースが空いており、高徳のクロスの精度もあって鋭い攻撃による決定機でした。
もっと言うと、森岡が岡崎の裏に入り込めていれば・・・という部分でしょうか。

 前半の追加タイムには右CKが中央を流れてファーサイドの田中へ。田中のハーフボレーはブロックに遭ったものの、こぼれ球はさらにゴールに近い位置にいた塩谷へ。しかし、塩谷が合わせたシュートは大きく外れて前半終了。

 確かにセレソンの過去2戦と同様にボールを持たされてカウンターを食らい、先制点を奪われるとさらなるカウンターの餌食になるのは以前と同様。
 しかし、この日の経験不足な若い日本代表は決定機を作ってはいました。しかもそれは「自分達のサッカーをする」というよりも、「どこから攻撃できるか?」という突破口を探したり、クロスも低くて速いボールを入れるなどの工夫とゲーム運びの妙を見せていた事は評価できるという点に置いて、「前半はいい勝負が出来ていた」というアギーレ監督の言葉を信じたい部分が見えた中、0-1と日本は1点ビハインドで前半を折り返しました。