64分、その右ウイングに入ったアントニオが右サイドから持ち込んで中央へ折り返し。これはファン・ヒントゥムに当たったものの、こぼれ球がぺナルティアーク付近に流れ、絶好のタイミングで入って来たルスナクがダイレクトでジャストミートは出来ずとも、コースを狙った正確な右足のシュートが決まってフローニンヘンが先制。0-1。
さらに75分、またも右サイドからアントニオが抉り、中央へ狙い済ました浮き球のクロスを供給。マークを外して入って来たルスナクが難なく右足で合わせて流し込み自身もチームも2点目となる追加点で0-2。
主導権を握っていたはずのズヴォレが一気に劣勢に立たされ、リーグ戦ではチームトップの11ゴールを挙げているFWステファン・ナイラントを投入したのは80分という後手の采配。終盤、そのナイラントに決定機が訪れるも決めきれず。
そのままフローニンヘンが0-2で勝利し、クラブ創設94年目で嬉しい初タイトルとなりました。ズヴォレの攻撃の前に劣勢でありながら、相手の攻撃を受け止めるよりも、攻撃で跳ね返す、というオランダらしいサッカー観が勝負のポイントだったと思います。
負けたズヴォレも昨年にクラブ史上初タイトルとなったクラブ。この日も攻撃マインド全開のサッカーは魅せてくれました。そして、来週のリーグ戦ではまたこの2つのクラブが対戦します。残り2試合で来季ヨーロッパリーグ出場権がかかるプレーオフ進出となる4~7位以内を目指し、この日敗れたズヴォレは現在7位。フローニンヘンはズヴォレから勝点4離れた8位。ただ、この日のKNVBカップ優勝により、フローニンヘンは来季のヨーロッパリーグ出場権を獲得。来週の対戦ではこの日は敗れたズヴォレの健闘を祈ります。
スロバキアの新鋭が大仕事 マンチェスターシティ加入の噂も納得の実力
この日、2ゴールを記録したフローニンヘンのMFアルベルト・ルスナクは2010年にマンチェスター・シティへ加入したスロバキア出身選手で、今季前半戦は同じオランダ1部リーグのカンブ―ルへレンタル移籍。冬の移籍市場でオランダで活躍する姿を高く評価していたフローニンヘンが完全移籍で獲得していましたが、来季から買戻しオプションを行使してシティ復帰も噂されていたルスナクの実力は本物でした。
ドルトムントのドイツ代表MFマルコ・ロイスとマンチェスター・シティのフランス代表MFサミル・ナスリを足して2で割ったような20歳の逸材は育成年代をイングランドで過ごしているので、ホームグロウン選手として買い戻す意向のようですが、飼い殺し(買い殺し?)になるのなら止めてもらいたい。そんな純粋にプレーを観ていたい逸材でした。
オランダリーグを制覇したPSVアイントホーフェンから左ウイングのオランダ代表FWメンフィス・デパイが主要リーグのビッグクラブへ移籍する事が濃厚な今、ルスナクにはデパイの後継者が必要なPSVを始め、オランダ国内のビッグクラブでプレーする方が選手側やクラブ側にとっても良いように思います。
クラブ史上初タイトルとなったフローニンヘンと共に、ルスナクも初めてプロ選手としてスポットライトを浴びた大舞台でのMVP級活躍。毎年のようにオランダリーグから欧州主要リーグへ羽ばたくタレントは多くいますが、現在はこのスロバキアの新鋭に注目です。
現地観戦フォトギャラリー
ここからは現地の写真をお楽しみください。
道路で発煙筒を焚くズヴォレサポーター。