Foot ball Drunker 〔134〕visiting 『Juventus Stadium』トリノ / イタリア

赤ワインと生肉を食べずに 美食の街は語れない

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「このヒト、ヨーロッパあっちこっち行ってんのよ」「じゃあ美味しいものいっぱい知ってるのね!何が美味しいの⁉ 」これは筆者の同年代女性=おばさんの定番とも言える会話。色気が減る分反比例する食気の向上は止まらないらしい。
伊トリノでは強さの象徴とされる牛。街中を散策するといたる所でウシさんをモチーフにしたデザインと出くわす。また欧州屈指の美食の都として知られるもこの街。ピエモンテ料理を詳しく紹介できるほどのグルメではないが、ファッソーネ牛の生肉をオリーブ油·塩·胡椒のみで味つけ、レモン汁にチーズを添えれば『Battutaバットゥータ=トリノ風タルタルステーキ』が完成。


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この逸品は日本の食通マダムにも気にいってもらえるはず。ピエモンテ地方はカステルマーニョチーズ発祥の地でもある。
日本人の舌は油こってりよりも、あっさり·さっぱり志向。新鮮な馬刺しや鳥刺しなど生肉を好む。麗しいカメリエーラに赤ワインのボトルを開けてもらい、グラスに注がれたワインとのマリア―ジュは無双。今や習慣となった食前酒=アペリティフも18世紀の後半からこの街で始まった食文化である。


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カバー写真はDANONEのBIOヨーグルト。日本の小売店でナッツ味は見掛けないが、ココナッツ、ヘーゼルナッツ、アーモンド、クルとか入った商品がフランスやイタリアでは普通に流通している。世界最高のヘーゼルナッツといわれるのがピエモンテ州カネッリにあるNUTMAN社の製品。実際トリノでは料理にヘーゼルナッツを用いるメニューも目立つ。

ヨーグルトと聞いてまず思い浮かべる国はブルガリア。1919年世界で初めてアイザック·カラソー:Isaac Carasso【1874年生―1939年没)氏がヨーグルトをスペインで工業化すると二代目がパリ工場に生産ラインを移して欧州にヨーグルト製品が広がりを見せたのは少々意外。


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オールドファンにとって1992~1995年ユヴェントスの胸ロゴがDANONEだった時代、ロベルト·バッジョ:Roberto Baggio【1967年2月18日生】がUEFAカップを掲げたシーンは強く印象に残っている。ナッツ同様チョコレート味のコーンフレークをミルクでなくヨーグルトと混ぜる食べ方も日本人には違和感がある。
ベルギーのイメージが定着しているチョコレートもアステカから液状で先ずはスペインが持ち込む。そして固形の元祖はトリノ。サヴォイア家当主が統一したイタリア王国の首都は当初トリノにあった。僅か四年の間ではあるが。19世紀産業革命は、チョコレートの製造技術も格段に進歩させ、トリノには周辺国からチョコレート職人が集まる。カファレル社を創業するピエール·ポール·カファレル:Pierre Paul Caffarel 【1801年生–1871年没】の『カファレル』、『ヴェンキ』と現在も名の知れたチョコレート工房がこの時代に誕生した。

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