“ゼロトップ”全盛の時代?超万能型のイブラヒモビッチとレヴァンドフスキは?
そうは言っても、バルセロナを率いて昨今のゼロトップ推奨の動きを作ったジョゼップ・グアルディオラ監督は、バイエルン・ミュンヘンでポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキに絶対的な信頼を置いた。
彼が加入する前のシーズンには、チーム得点王だったクロアチア代表FWマリオ・マンジュキッチに全く信頼を示さなかったグアルディオラが、レヴァンドフスキには惚れ惚れしていた。レヴァンドフスキ自身もグアルディオラとの出会いで新たなプレーの幅を加えて、今や自他共に認められるような世界最高のストライカーとなった。
そして、今大会が最後のEUROになるであろうスウェーデン代表のズラタン・イブラヒモビッチもまた、レヴァンドフスキと同じく絶対的存在のストライカーだ。彼もグアルディオラがバルセロナ時代に獲得を希望した選手だ。(確執を理由に1年でお別れになったが)
2人ともスピードもテクニックも高さ、強さもある。イブラヒモビッチはゲームメイクも兼任する「最前線の司令塔」でもあるし、レヴァンドフスキもポストプレー以上に組み立てに参加できる超万能型のFWだ。
ただ、2人ともスウェーデンとポーランドという所謂「強豪国」の選手ではない。育成段階からメソッドを固めて選手を育てる強豪には、「全てを可能にする」ような彼等のようなストライカーは生まれて来ないのかもしれない。
そうなると大国ではあるものの、近年の国際大会ではベスト8が関の山のイングランドの新エース=ハリー・ケインにはイブラヒモビッチとレヴァンドフスキに近い万能性を感じる。期待したい!
また、ストライカーではないが、東ヨーロッパ諸国から個に秀でた選手の台頭は続くと見ると、ウクライナのイェウヘン・コノプリャンカとアンドリー・ヤルモレンコの両ウイングにはドリブル突破だけでなく得点にも期待している。
果たして「ストライカーは本当に必要なのか?」
筆者の考えでは、今大会の東欧勢、またはイブラヒモビッチのようなその血統にある選手に、目を向けていく先に答えがあるのではないかと思う。