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メヘレンの問題は地域で孤立しているモロッコ系移民の犯罪で最悪の治安。理屈ばかりこねまわして実行力のない年老いた議員先生が多い中、37歳(※筆者と同年齢)の市長が参考にした政策は、現在210億円の支払い命令で話題のルドルフ·ジュリアーニ:Rudy Giuliani【1944年5月28日生】の思考。9・11テロに対して当時のジュリアーニ市長はテロリズムに宣戦布告、米国市長としては初めて国際連合での演説により「世界の市長」と称賛を集めた。ジュリアーニ退任とソーメルスの市長就任は同じ2001年。
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地下鉄の落書き一掃やゴミのポイ捨て禁止など防犯カメラを設置して徹底的に取り締まり治安を改善したのはジュリアーニ流。
しかし彼の辣腕を評価されるのは独自の移民政策。2012年から実施し住民がマンツーマンで移民と交流するバディ制度を促進。欧州各国のメディアが注目し、’17年2月名誉ある世界市長賞に選ばれた。この制度を取り入れる日本の企業も増えている。
昨年クロアチアとの3位決定戦で世界デビューを果たした早熟のビラル・エル・カンヌス:Bilal El Khannous【2004年5月10日生】はメヘレンから南に25キロのストロンビーク=ブヴェール出身。ベルギー代表からの鞍替えを選択した。
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イリヤス・ルフランク:Ilyas【2003年12月3日生】OHルーヴェンのユースからトップに。昨季メヘレン(U23)で1シーズンだけ過ごし今季AEKアテネBでプレーするモロッコU20代表。
仏サンテティエンヌでプレーするベンジャミン・ブシュアリ:Benjamin Bouchouari【2001年11月13日生】はボルゲルハウト出身。2015年にアンデルレヒトからメヘレン·ユースに二年間在籍した。ブリュッセルからメヘレンに移り、暮らしているモロッコ人の違いに驚いたかもしれない。
曽てド·フールも所属したバーンリーFCのアナス・ザルリ:Anass Zaroury【2000年11月7日生】はメヘレンで生まれ育ちこの街の変化を目の当たりにした世代。KVメヘレンからズルテ·ワレヘムの下部組織を経て’19年7月にロンメルでプロキャリアをスタートさせた。しかしベルギーU21代表から22年A代表はモロッコを選択している。
今後ベルギー在住のモロッコ代表選手が増えることは明白であり昨年カタール大会時の暴徒化の闇は深い。
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「親も友も世の中にも裏切られたあなた 夢にやぶれ舞台裏でひとり泣く君も 考えるな 世界は広い・・・」
弱冠20歳にしてこの歌詞を書いた原田真二の才能。この曲は時代の先を行き過ぎて大ヒットには至らなかったが、今の若者達ならばどう受け取るだろうか。今回のテキスト、太字は名曲MARCHの歌詞から引用させていただいた。[第68話了]