
◆◆◆◆◆
限りなくトヨタカップを彷彿させる試合は開始のホイッスルから九分後セットプレーでリヴァプール先制。しかし前半三十分元アヤックスのオランダ人が一発レッドでまさかの退場。自慢の4-2-3-1は崩壊。後半数的優位を活かしてペースを掴んだホームチームが逆転する。オスカル·カルドソ:Óscar Cardozo【1983年5月20日生】に与えられた二度のPKはスペイン代表キーパーのペペ·レイナ:José Manuel Reina【1982年8月31日生】でも止められず逆転負け。欧州を制し本来熟成されるべきサッカーは現レアル監督が抜けた綻びを修復出来ぬまま時間だけが過ぎていた。
◇◇◇◇◇

◆◆◆◆◆
正直アイマールの出来はイマイチ。それよりも“もう一人”のアルゼンチーノが斬れ味鋭い。二十二歳のアンヘル·ディ·マリア:Ángel Di María【1988年2月14日生】に魅力された。上写真右端がジェラード、ゴ-ル前ニアにライアン·バベル:Ryan Babel【1986年12月19日生】を見おろす。右下端にフォタグラフォの姿を確認できるが十五年後、自分がそこにいるとは露ほども思わず。この日湿ったジェラ-ドの右足はアンフィールドで輝きを取り戻す。針の穴を通した右コーナーキックで先制点をアシスト。二点目はアウトサイドで出した絶妙のスルーパス。結局二試合合計5-3で準決勝進出を決めたのはリヴァプールだった。
◇◇◇◇◇
控えキーパーが経験で勝利に貢献したヨハネスブルグの激闘
◇◇◇◇◇
情報収集や分析を司るテクノロジーは、日々進歩している。このベンフィカ-リヴァプール戦から二ヶ月後に開幕したFIFAワ-ルドカップ南アフリカ大会はPK失敗の多い大会として記憶に残ったが、情報が多ければ人間の思考や行動癖を解析できる確率も高まる。今も脳裏に刻まれているのは イケル·カシージャス:Iker Casillas【1981年5月20日生】とペペ·レイナが抱擁を交わす姿。準々決勝のスペインーパラグアイ戦では、カルドソ、シャビ·アロンソ:Xabier Alonso【1981年11月25日生】共にPKを外す珍事が起こる。カシージャスに至っては、マウスの外に弾き出すどころか鋭い読みでキャッチしてしまった。カルドソが左足を振り切る前に、「コレ止められるな」と筆者は予感を口にした。トーナメントである以上、PK戦を想定してコーチ、控えキーパーも含め入念な準備と対策を練るのは至極当然。ここで約二ヶ月前の苦い体験をしているペペ·レイナの助言が役立ち、間接的にではあるがリベンジを果たしたのは間違いない。
◇◇◇◇◇

◆◆◆◆◆
リオネル·メッシ:Lionel Messi【1987年6月24日生】とディ·マリアが世界の頂点へと導いたカタ-ル大会。リオネル·スカローニ:Lionel Scaloni【1978年5月16日生】の脇を固めたのは1997年のワールドユース(現U-20ワールド杯)優勝メンバー。ディ·マリアとは同じ釜の飯を食らい、メッシが憧れたアイマールもカタールでの大団円に加わった。その翌年同じく中東のサウジアラビア国内リーグ。2023年8月28日第四節のキング·ファハド国際スタジアム。覇権奪回に臨むアル·ヒラル指揮官には 2018-19シーズン以来となるジョルジェ·ジェズス。十七勝二分と無敗街道を直走る。その強豪に2-0と敗れたアル·イテファクのベンチ前で指示を出していた青年監督こそスティーヴン·ジェラード。両者が約十三年ぶりに対戦する場所がまさか中東になるとは。潤沢なオイルマネーで夢も懐古もお金で買ってしまう現代のアラビアンナイト。
◇◇◇◇◇
ルスに舞うアギア·ヴィトーリアから蘇る南アフリカで響いた声援の記憶く
◇◇◇◇◇