しかし、次節のASハリマ・アルビオンとのアウェイ戦で1-0で敗れた湯郷に対して、C大阪堺Lは勝利。湯郷の決勝進出の可能性は風前の灯火となった。
それでもグループリーグ1位のみにしか与えられないリーグカップ決勝進出へ向けて、僅かな可能性を残す湯郷は、このダービーへ向けて前節から大量5人の先発メンバーを変更。吉備国際大が独自の3バックシステムを使いこなす相手である事もあり、この試合は戦術的な駆け引きやシステムの噛み合わせも注目ポイントとなった。
給水タイムで軌道修正~吉村碧の攻撃参加でゴールに迫る湯郷
試合は吉備国際大特有の<3-4-2-1>システムと3バックから放たれるロングボールに対して湯郷が受身になったが、次第にマッチアップの噛み合わせも上手くいき、徐々に陣地を回復。ただ、なかなかシュートにまで繋がる攻撃を仕掛けられる場面はなかった。
そんな中、公式記録で34.8℃の暑さを凌ぐため、この試合はハーフタイム以外に前半・後半の真ん中で給水タイム以上の「クーリング・ブレイク」で3分間の休憩を挟んだのだが、ここから湯郷・亘監督が動く。
試合開始時点でのDFラインは、左から島村公美子・齊藤夏美・林萌々・吉村碧の並びだったが、これが、左から吉村・斎藤・島村・林へと変更となった。「相手が3バックで試合に入って来た中、10分過ぎから<4-4-2>のような形に変わり、システムの噛み合わせが良かったので、サイドからボールを動かしたい。」(亘監督)との狙いだった。
その上で右サイドバックから左サイドバックへと回った吉村がかなり高い位置を取り、左サイドMFの木龍七瀬がフリーになったり、中央へ絞ってプレーする事が可能となった。「相手の攻撃で特に左サイドの関口真由選手のドリブルからのクロスが怖いので、ウチが攻撃の怖さを持たないと相手が攻撃を仕掛けてくるので、攻撃の部分で守備を軽減しようという狙い。」(亘監督)だった。
この戦略が上手くいき、特に左SBの吉村が躍動した。35分頃には左サイドからの攻撃で中央に絞った木龍がフリーでパスを受けて巧みなターン。この日先発起用されたFW濱本まりんのシュートに繋げた。直後には最終ラインからのロングフィードを左サイドで受けた吉村がゴールライン際まで突破。マイナスのショートクロスを送り、ペナルティエリア内でフリーの絶好機を演出していた。
ただ、この日は特に前線の主力組がベンチスタートとなっており、攻撃の細部の連携を欠いた前半はスコアレスで折り返した。
スクランブル布陣で攻勢を仕掛けて終盤に先制も・・・
終了間際の同点弾を浴び、GL敗退決定
後半、湯郷は開始からFW尾田緩奈・浅野未希・MF巴月優希の3人のアタッカーが同時投入され、MF亀岡夏美が右SBに入る攻撃的な布陣でスタートした。「(先発を外れた尾田は)タイプ的にも前線で起点を作れる、クサビを受けてくれる選手。後半、体力的に落ちて来た時に前でボールを収められる選手を置いた。」(亘監督)
右サイドから亀岡、左サイドから吉村が攻撃参加し、SBながらも中央へも駆け上がる.。前線では俊敏な動きを見せて相手DFを攪乱させるFW尾田に合わせて、ペナルティエリア内への鋭いパスも通り始めた。時より見せるMF藤田の長めのスルーパスでアクセントもつける。
それでも、どうしてもゴール前にあと1人足りない。1歩が届かない。ゴールライン際まで突破して折り返しても・・・ゴールを割れない。吉備国際大は温存していたエース格のFW池尻茉由を61分に投入。カウンターから池尻が大きなストライドで持ち込むドリブル突破が脅威になって来た。