Foot ball Drunker〔152〕visiting『Zirineio Municipal Stadium 』キフィシア/ギリシャ 


◆◆◆◆

今月を以って降格したクラブとの契約を終了。クロナリディスのエージェントはアクシアスポーツ·マネジメント:Axia Sports Management。モントリオール出身のニコス・マヴロマラス:Nikos Mavromaras が設立。その名前は2020年8月ジョナサン・デイヴィッド:Jonathan David【2000年1月14日生】のLOSCリールへの移籍成功で一躍欧州の同業者に知れ渡る。歴代カナダ選手の最高額でリールのクラブ最高移籍料レコードを更新した金額は3150万€。当時マヴロマラスは29歳。その名前が示すようにギリシャの国籍も所有しており16歳でギリシャに渡りプレーヤーを志すも早々に見切りをつけ断念。欧州と北米を股に掛ける代理人だけにクロナリディスがMLSでプレーする可能性は低くもないか。


◆◆◆◆

この日取材した試合はトップチームではなくU19。対戦相手はパネトリコス。アテネから北西280キロ離れたアグリニオのクラブ。トップチームは昨季スーパーリーグ1を9位でフィニッシュしている。試合はソティリス·コントゥリス:Sotiris Kontouris【2005年2月24日生】がセントラルミッドフィルダーながら2ゴールを決めてアウェーチームの完勝。この年代では国内トップクラス。この試合から20日後に行われたU19欧州選手権予選のデンマーク&セルビア戦にフル出場。デンマーク戦では右サイドの高い位置でプレーしている183cmの長身ユーティリティープレーヤー。


◆◆◆

若者達の外連味のないプレーを目のあたりにしながら、頭に思い浮かべたのは高齢化に悩む同国の現状。2009年の財政破綻から奇跡的ともいえる復活を果たしたが、約50万人のギリシャ国民が他国へ移住。その大半を占めるのが高学歴の若者。これは隣国ブルガリアも同様に頭を抱える問題。若き俊英が西欧へと流れるのはフットボールに限った事ではない。
キリアコス·ミツォタキス:Kyriakos Mitsotakis内閣は昨秋に新労働法を可決、週6日勤務制の導入が話題に。その背景には深刻な高齢化と人口減少と聞いて納得。


◆◆◆◆

この異常な熱波に見舞われたアテネでは最大の観光スポット、アクロポリスを閉鎖した。昨夏この古代遺跡で働く労働者達が
炎天下での過酷な労働に抗議のストライキを断行。確かに45℃で働いていたら生死に関わる。本年は正午から午後5時までの屋外作業中止を建設や配送等各業界にギリシャ政府から通達されているが、日本では大丈夫なのかと心配になる。

アテネで一緒にストライキによる不便を被ったドイツからの観光客夫妻に「日本人はストライキしないでしょ?」と声を掛けられた。思い起こせば高度経済成長期、雪が解け桜が開花する季節になるとストライキが起こり交通機関が麻痺するのが恒例だった。昨夏のそごう・西武労働組合のストライキは記憶に新しい。
労働条件や低賃金に対して不平不満を言わず、牙を抜かれ抵抗を放棄した労働者が実は、現在の日本経済を停滞させている一因にもなっている現状を説明したいが、悲しいかな筆者の語学力では到底説明できない。
そこで一言。「日本人は自分達の権利のために、利用者(顧客)に迷惑をかけることはしない。それが日本人の精神であり美学です。」
本当に日本人のスピリッツ&エスセティクスかは、疑問符がつくところではあるのだが。[第152話了]


◆◆◆◆