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ファン・ハールのつくるユナイテッド

 類稀なる戦略家としての手腕を見せつけたルイ・ファン・ハール。W杯でオランダ代表を率いた彼が、コスタリカ戦で見せたGK交代劇。それまでゴールマウスを守っていた、正GKシレッセンはピッチから下がった際、不満を露わにした。だが、この交代指示は的中した。代わって出たクルルは、素晴らしい反応を見せ、二度シュートをセーブ。オランダの準決勝進出を掴み取った。「私は私が正しいと思ったことをする」これが彼のコンセプトである。

 そんな彼は間もなく新シーズンを迎えるプレミアにおいて、名門マンチェスター・ユナイテッドの指揮をとることとなる。昨季、モイーズ監督の下、散々な成績で終わったクラブ。再びマンチェスターの地で、トロフィーを手にサポーターと喜びを分かちあえる日はくるか。オランダ人新監督にその期待がかかる。

ファン・ハールは他クラブで幾度となく、フロントや選手と衝突してきた。彼のとる姿勢は、まさに「ミスター高慢」といったところだろうか。自分の持つ主義を決して曲げない。そしてそれが周りに受け入られないのならば立ち去る。彼はそういう男だ。

 しかし、今回そう簡単に立ち去るわけにはいかないだろう。フロントはかつてない程の資金を注ぎ込み、彼にクラブ再建を委託。今回のマーケットでは多くの人員整理が予想される。
現にイングランドの左SBをむこう十年は任せられると目されるルーク・ショウや、リーガで中央のMFポジションを幅広くこなしてきた、アンデル・エレーラを既に獲得。まだまだ他の選手の獲得にも乗り出すであろう。チームの大規模な人員整理が予想される。

 私は彼の愛弟子ファン・ペルシー、チームの大黒柱ルーニー、GKデ・ヘアは確実に残留し、チームを牽引すると思われる。が、他の選手たちはどうだろうか。スター特有のエゴや、派手な私生活、奇抜な髪形に至るまで・・・、そういった浮かれた選手を彼は好まない。彼が必要とするのは、彼を尊敬し、ただ忠実にサッカーに集中する選手なのである。
 果たして新シーズン、ピッチに立つ選手たちの顔ぶれはどうなるのか。名門クラブの再建は成るのか。多くのフットボールファンを熱くさせる新シーズンの開始はもうすぐだ。