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U21日本代表 4-1 U23クウェート代表 〜“勝負に徹する”U21が結果的快勝〜

U21日本代表 4-1 U23クウェート代表
得点者
【日本代表】大島(43分)、鈴木(50、84分)、岩波(74分)
【クウェート代表】ユセフ・ナジャフ(25分)

基本システムを持たずに“勝負に徹すること”がスタイルのU21が巧みな試合運びで五分五分の試合を快勝へ導く!!

【マッチレポート】DFリーダーの遠藤欠場により、大型CB3人を配した3-4-3採用
 韓国で行われる今アジア大会に先立って国内で合宿を積んでいたU21日本代表は大会直前に行われた大学選抜との練習試合ではフル代表のハビエル・アギーレ監督も採用している4-3-3のシステムを使ったものの、全く機能せずにスコアレスドローを演じてしまい不安の色が濃いままで大会へ出発していました。加えて、正GK候補のGK杉本大地(京都サンガ)が負傷、DFリーダー役のDF遠藤航(湘南ベルマーレ)が発熱により欠場していた事も輪をかけて不安を募っているように見えました。結局、この大会初戦のクウェート戦へ向けてはGKは負傷の杉本に替えてポープ・ウィリアムが追加登録され、遠藤も欠場する事態となりました。
それでも、手倉森誠監督はもともとシステムよりも“勝負に徹すること”をスタイルにするようなチーム作りを施しており、前述の大学選抜の試合では途中から4-4-2を採用して流れを変えるなど柔軟性のあるチームと、その選手構成がこのU21代表の特徴。
 迎えた今大会。大会規定は「23歳以下の選手+オーバーエイジ(23歳以上)3人まで」であるものの、日本は2年後のブラジルで開催されるリオディジャネイロ五輪への出場資格を持つメンバーで構成した21歳以下で挑んでいます。日本が入ったグループリーグDにはクウェート、ネパールと共に、この世代では“最強”と言わるイラクを第2戦に迎える日本は初戦での勝点3が予選突破へ向けて絶対条件。
迎える初戦の相手・クウェートは上記のU22アジアカップでもグループリーグで対戦。その際はスコアレスドローと互角の勝負を演じていた事でこの試合の重要性はさらに増していました。
遠藤が欠場した日本はJリーグでも定位置を掴んでいて、185cm以上の長身を誇るCBの3人を同時起用できる3-4-3を採用。主将はJリーグで最も魅力的なサッカーをする川崎フロンターレの中盤で華麗なパスワークの軸となっているMF大島僚太が担いました。

守備の意識が強すぎた前半。それでも大島が”違い”を見せる

 試合の方はキックオフから日本の守備への意識が強すぎて膠着した展開に。特に相手のクウェートが1トップなのに対して3バックが残って2枚余るにも関わらず、本来ならアンカーとして中盤の底の役割もこなしながらDFラインにも入るとい戦術上の要である遠藤の欠場が痛く感じました。簡単に言うと、アギーレジャパンでいう森重真人の役割です。それをマンマークで強さを発揮した植田直通(鹿島アントラーズ)は役目を果たしていたとすれば、西野貴治(ガンバ大阪)、岩波拓也(ヴィッセル神戸)は余って対応する事が多いにも関わらず、ビルドアップは中盤に任せきり。しかもその中盤はシステム上の特徴として大島と原川力(愛媛FC)の2人のみだった事もあって、なかなか中盤が前を向いてゲームを組み立てていく事が出来ませんでした。従って、DFラインからロングボールが蹴られる展開が続きました。アクセントとなったのは右サイドの室谷成(明治大学)の積極果敢な攻撃参加と、タメを作る中島翔哉(FC東京)の個人技くらい。
 しかし、43分。セカンドボールからの2次攻撃。中盤で原川がボールを収めると、相棒・大島が一瞬出来たぺナルティエリア内のスペースへ一気に飛び出し、原川が浮き球のパスを供給。後方からの浮き球をワンタッチで華麗にトラップした大島がゴール前で全くプレッシャーも感じさせずに冷静に効き足ではない左足で流し込むスマートなシュートで日本が先制。1-0。
後半に入るに至って非常に大きくなる影響力をもった先制点をもって前半を折り返しました。

日本の武器となる高さとセットプレー

 そんな前半を経て始まった後半。前半はセットプレーが多かったものの、それを活かしきれていなかった事からキッカーを原川からFW野津田岳人(サンフレッチェ広島)に変更。これが功を奏しました。
49分、野津田の右CKから頭1つ打点の高いヘディングで競り勝った西野のヘディングシュートが間一髪で防がれたものの、続く右CK。野津田のキックからファーサイドの植田が折り返し、中央のエースFW鈴木武蔵(アルビレックス新潟)が押し込んで2-0。この世代の特徴である長身CBを活かすのはシステム上の構成と共にセットプレーでの高さで活かせる優位性を証明した得点となりました。
 しかし、70分に相手の猛攻を跳ね返しきれずにセットプレー攻撃を連続して受け続け、GK牲川歩見(ジュビロ磐田)のキャッチングミスもあって失点し、2-1とされてしまいます。
そこで押し返したのもセットプレーからでした。左CKをショートでスタートし変化を付けてから原川がリターンを受けて左サイドを抜け出し、GKとDFの間へ鋭く低いクロス。セットプレーの流れでゴール前に残っていたDF植田がニアサイドでフリックし、ファーサイドまで流れたボールを、これまたDFの岩波が流し込んで3-1に。
 さらに83分。中盤からスピード感溢れるパスワークで魅了。中島のタメからのスルーパスも絶妙に通り、室谷がピンポイントのクロス。エースの鈴木も流れるような攻撃のフィニッシュに相応しい華麗なボレーシュートとボルトパフォーマンスで決めて4-1。
試合前の状況、前半の戦況共に不安がありながらも、“勝負に徹する”スタイルを貫く上でセットプレーをモノにしたU21日本代表が重要な大会初戦で結果的快勝をもたらしました。
 

“世代最強”イラクを相手にチャレンジャー精神と柔軟性を持ったチームが挑む

 しかし、とにかくまずは次の“世代最強・イラク”戦です。昨年のU20W杯でベスト4進出という、この世代のアジア勢では群を抜く強さを誇るイラク。日本自身もそのU20W杯出場を賭けたアジア予選の準々決勝で敗退し、今年1月のU22アジアカップでも敗戦。
 また、イラクは日本と違って23歳までのメンバーを組み込んだ上で、さらにオーバーエイジも入っているベストメンバーで挑んで来ます。このイラク戦へ向けて遠藤の復帰があるか?3バックでも4バックでも対応できるという今までの日本代表にはない柔軟性を持って勝負に徹する事ができるチームが、世代最強チームとの戦いで見せるプレーに注目です。あくまで2度敗れている日本は“チャレンジャー精神”で挑む事がポイント。