「目の前の結果にだけ左右されるのではなく、時には意見をし合ってコミュニケーションをとりながらサッカーを作り上げていく楽しさ。世間が評価するのは10年連続でタイトルを獲得できる監督だとしても、自分の理想とするのは、監督も選手も同じチームの一員として、同じ方向を目指す者として、意見を言い合って話し合える環境を作れる監督が理想」
ジュビロ磐田の黄金時代や日本代表でも主力選手としてプレーし、海外クラブでのプレー経験もある名波さんの言いたい事が全て詰まった“理想の監督像”だと思いますね。
黄金時代でも長期政権がない不思議 監督単位ではなく、クラブに根付く伝統のスタイル
名波さんの理想の監督像を解きながらも、その上で少し気になる事があるのが、歴代のジュビロ磐田の監督人事。2000年前後の黄金時代ですら、同じ監督が指揮を執っていたわけではありません。監督が交代しても主力選手の入れ替えはあまりなかったからかもしれませんが、チームのプレースタイルは同じ方向性で継続され、その究極が“N-BOX”となっただけです。
つまり、“ジュビロのサッカー”とは監督単位でスタイルがあるのではなく、クラブ自体にスタイルが根付いていると言えるのではないでしょうか?“N-BOX”を発案した当時の鈴木政一監督とも、常に「ジュビロのサッカーをどうしていくんだ?」という対話をよくしていたようで、その積み重ねが「監督が交代してもスタイルが変わらなかった」理由なのでしょう。
年度 | 監督名 | リーグ戦順位 | 主要カップ戦獲得タイトル |
---|---|---|---|
1994 | ハンス・オフト | 年間8位(1st・・7位、2nd・・7位) | |
1995 | ハンス・オフト | 年間6位(1st・・5位、2nd・・9位) | |
1996 | ハンス・オフト | 4位 | |
1997 | フェリペ・スコラーリ5月~桑原隆 | 年間優勝(1st・・6位、2nd・・優勝) | |
1998 | バウミール・ロールス | 年間2位(1st・・優勝、2nd・・2位) | ナビスコカップ優勝 |
1999 | 桑原隆 | 年間優勝(1st・優勝、 2nd・・12位) | アジアクラブ選手権優勝 |
2000 | ハジェヴスキー9月~鈴木政一 | 年間4位(1st・・5位、2nd・・3位) | アジアクラブ選手権準優勝 |
2001 | 鈴木政一 | 年間2位(1st・・優勝、2nd・・2位) | アジアクラブ選手権準優勝 |
2002 | 鈴木政一 | 年間優勝(1st・・優勝、2nd・・優勝) | |
2003 | 柳下正明 | 年間2位(1st・・2位、2nd・・3位) | 天皇杯優勝 |
2004 | 桑原隆9月~鈴木政一11月~山本昌 | 年間5位(1st・・2位、2nd・・13位) | 天皇杯準優勝 |
2005 | 山本昌邦 | 6位 | |
2006 | 山本昌邦6月~アジウソン | 5位 | |
2007 | アジウソン9月~内山篤 | 9位 | |
2008 | 内山篤8月~ハンス・オフト | (入れ替え戦でJ1残留)16位 | |
2009 | 柳下正明 | 11位 | |
2010 | 柳下正明 | 11位ナビスコカップ優勝 | |
2011 | 柳下正明 | 8位 | |
2012 | 森下仁志 | 12位 | |
2013 | 森下仁志5月~長澤徹(代行)5月~関塚隆 | 17位 | |
2014 | ぺリクレス・シャムスカ9月~名波浩 | 4位 | |
2015 | 名波浩 | 暫定2位 |