Foot ball Drunker〔156〕visiting『Stadion Lokomotiv 』ソフィア/ブルガリア

薔薇とヨ-グルトの国にも 猛暑襲来 

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遂に開幕したパリ五輪。それより一足早く欧州のフットボールシーンは始動している。7月10日のUEFAコンペティション一次予選ラウンドに続き、国内リーグが既に開幕しているのはブルガリア。PECロコモティフ·ソフィアはレフスキ·ソフィアと対戦。先制しながら結果は1-6の敗戦。


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厳寒のブルガリアで暮らす人々からすればウインターブレーク期間を長く取りたいから当然夏の開幕は早まる。ところが2007年6月にソフィアで35度を上回る気温が記録された。観測史上最高でこれは熱波による影響。それから十年’17年7月1日には猛暑によりソフィア市内で五人が死亡。この時同国一部地域の気温はなんと44℃まで上昇。翌18年の異常気象による冷夏もあったが、本年7月の平均最高気温は38℃。キンと冷えたビールを流し込みたくもなる。


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欧州での取材時プレス控え室でスポンサー企業のビールが振舞われてもけして珍しくない。地元の方に交じって普通に飲んでいるが、ボトルやカップに手を伸ばさない人も多い。仕事中だから飲まない人もいるのかと気にも留めていなかったが今春至極当たり前のことに気づく。キプロス国内を取材するため国際ライセンスを取得。前回の豪州訪問時から約三十年ぶりに海外でハンドルを握ってみたら楽しい。そうか、ビールを口にしない人は車を運転してスタジアムに来ているのだ。


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欧州の飲酒運転に対する規制は、日本に比べて緩いイメージがある。その根源、別格の英国は棚に置くとして、日本の道路交通法では血中100ミリに対して30ミリグラムの数値が酒気帯びと判定されるボ-ダ-ライン。この3%に対して欧州ならばほぼ5%までは許容される。但し旧東欧のチェコ、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアは厳格で1%たりとも許さない。西欧諸国から「真面目か?!」とツッコミが入る中、さてブルガリアはというと····

この国で飲酒と判断される血中アルコール濃度数は5%からなので西欧と変わらない。但し一年以上の懲役·罰金が課せられる。実はコレ、非常に珍しい。筆者が知る限り欧州で軽度の飲酒に対するペナルティは、罰金及び減点=免停処分。日本同様『懲役』の二文字、キリル文字ではЛишаване от свободаの17文字が法文に記されるのはブルガリアぐらいではなかろうか。

ちなみにこのキリル文字。ロシアでも同じく用いられているが発祥はブルガリア。この国の歴史を紐解く作業は世界史マニアには堪らない。
滞在時最も飲んでいたのは販売量国内トップのАриана。アリアナと読む。1884年にチェコ人がソフィア市内に醸造所を設けた地ビールは1995年にマイナーチェンジ、’97年ハイネケン傘下の企業として不動のシェアを確保した。


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ブルガスコは1971年から黒海沿岸のブルガス市で醸造されているがベルギーのモルソン·クアーズ系。この他にはカールズバーク系のブランドもあり、ハイネケン、クアーズと三大メーカーが各地方の地ビールを買収しているのがブルガリアの現状。アルファベット表記のアスティカは南西部ハスコヴァの地ビール。1980年に誕生した醸造所は’95年に国内大手のカメニツァ[※1881年プロブディフで創業]が吸収。現在はこちらもモルソン·クアーズ傘下のブランドに。


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列車を待つ時間、することがないのでアスティカとアリアナを飲み比べてみた。結果三本目はアスティカをバックパックにしまって出発進行レッツGo。但し価格が安かったのでブルガリア滞在時一番飲んでいたのはアリアナだったかも。ここにあげた以外の地ビールも幾つか飲んでいるがレベルは結構高い。

ハスコヴァは人口八万人程度ながら、2003年にイエスの母マリア像を青年の丘に建造。高さ32メートルの聖母像はギネスブックで世界記録として認定されていると聞いて立ち寄った。ライトアップされたそのお姿にアルコールと煩悩で穢れた心も清められる。