67〗Stade Roi Baudouin / ブリュッセル


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最後の写真はカトリ-ヌ·シェヴィヨ:Catherine Chevillot【1961年生】館長とロダン美術館で撮影したツ-ショット。’90年にグルノーブル美術館の副館長からオルセー美術館の彫刻部門で長く勤務した後’12年にロダン美術館の館長に就任されたから十年以上前の写真になるのは間違いない。下写真、細江氏の後ろで進行を務めるのが二十二年前の筆者。この写真は取材していただいた株式会社JDNのサイト/登竜門から拝借した。
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◆◆◆◆ ©JDN

このご縁で暫くの間Japan Design Netに連載を寄稿することになったのが、海外の訪問先でも積極的に写真を撮影する切っ掛けに。式典で草間氏が寄せ付けないオ-ラを放つ中、隣に腰を降ろすと気さくに会話する細江先生に助けられた。「ヨコザワくんはコレ持ってて!」 撮影に同行した際、いきなり扱ったことのない丸レフ板を手渡されたのも良き思い出。思い起こせば女性のポ-トレ-ト撮影にあの頃の経験は役立っているのか。
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ハドソン川沿いの不思議な光景が物語る六十年代

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細江氏がアメリカで初の個展を開催するのは’69年。その五年前(64)年には、二ュ-ヨ-クで草間氏とのコラボレ-ションが始まる。おそらく細江氏が草間氏を撮影した作品と聞いて、頭に浮かべるのは鏡の部屋で赤いポディス-ツを纏って水玉が施されたソフトスカルプチャ-に埋もれる『インフィニティミラ-ル-ム』(’65年撮影) だろう。
しかし個人的には翌年の『ウォーキング·ピース』が気に入っている。魚眼レンズで撮影された二十五枚のカラー写真のスライド作品。おさげの髪型で鮮やかな花柄の着物姿。花で飾られた傘を差す日本人女性によるパフォーマンス·アート。石畳の道を抜けるとチ-プな広告看板、スレ違う車と通行人、道端のホームレスの男性を通り過ぎ、ハドソン川沿いに荒涼とした住宅街を歩いて撮影した。当時のアメリカでは、ベトナム戦争の対する反戦運動と併せてウーマンリブ運動の嵐が吹き始めた頃。白人男性が圧倒的に優位な空気が蔓延るニューヨークでアジア人女性の異質と孤独を表現している。それにしても今思えばこれ程豪華なツ-トップのコラボレ-ションが、実現することはもう二度とないだろう。〖第六十七話了〗
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