均等ではないディヴィジョン格差
Jリーグの4クラブがセカンドチームを来季からJ3に参入させる。有望な若手に実戦のステージを与えるためとはいえ、赤字を覚悟での参入とあれば、ファン・サポーターが物議を醸すのも当然。
U-22選抜も参戦するなど何かと話題の多いJ3。欧州のセカンド(リザーブ)チーム考察の衝動にかられ第一回ではまずジュピラーリーグの現況を紹介した。
上写真はドイツ三部シュツットガルター・キッカーズのホーム、GAZİシュタディオン。テーブルを手前に倒すと小柄な日本人の自分でさえ窮屈なのにビール腹のドイツ人記者にはさぞや苦痛であろうプレス席を除けば施設の設備は《三部としては》申し分ない。
9月23日マッチデープログラムに記された対戦相手のディナモ・ドレスデンが現在首位と好調。二部では今季RB・ライプツィヒの指揮官に就任した”革命家”ラングニックがザルツブルグで威力を発揮した4-2-2-2(または4-2-4)を再現。二部と三部の《台風の目》として旧東側ザクセン州クラブが猛威を振るう。
チューリッヒから目的地パリへの移動ルート、シュツットガルトかフライブルグか、ドイツ南西部の経由地は二都市からの選択を迫られた。フライブルグと聞いて元U-19代表のストライカーの名前も頭に浮かんだ。今季のシュツットガルトは日本人選手不在とはいえ昨季途中までライプツィヒを指導したアレクサンダー・ツォルニガーが監督就任。4-2-2-2システムを試しているらしく、かつてザルツブルグで衝撃を受けた者としては誘惑に勝てず少しだけ遠回り。シュツットガルトは今季マインツ、ブレーメンと共にセカンドチームを三部に送り込んでおり羨ましい限り。三部と四部の格差は小さくない。
四部レギオナルはアマチュアリーグ。プロのセカンドも参戦ならばセミプロリーグと表記すべきか。かつてバイエルン所属時には宇佐美貴史もプレーしていたが、歯応え不足は否めない。
10月10日の第12節その宇佐美も在籍したホッフェンハイム。フライブルグをホームに迎えセカンドチーム同士の対戦が組まれた。シュバイツァー監督は、途中出場ながら2試合連続ゴールを決めた木下康介(1994年19月生)をスタメンに起用している。三試合連続のゴールは逃したものの88分で交代。木下は2-1の勝利に貢献した。
横浜FCユース所属の若者にマンチェスター・シティからオファーが届いたのは2013年。フライブルグU-19を選択したのは賢明だったはず。2014-15シーズンはセカンドチームで21試合7得点もトップチームの2部降格は想定外。今季ブンデス2部は15節終了時点でライプツィヒと同勝ち点ながら首位を走るのがフライブルグ。昇格を最優先し現戦力が機能しているならば、余程の選手でない限りセカンドチームから若手を抜擢するよ余裕はないだろう。しかもそのセカンドチームはレギオナルリーガ南西部地区で16位と低迷中。木下康介も最後に得点を決めたヴァルトホーフマンハイム戦のゴールから二カ月が経とうとしている。現在の状況は向風、木下は正念場を迎えている。
10月18日メルツェデスベンツアリーナ。シュツットガルトがインゴルシュタットの猛攻に耐え今季ホームでの初勝利を手繰り寄せた。退場者を出し数的不利な状況で虎の子の一点リードを死守する展開に、フットボールの醍醐味を堪能した。下写真撮影でカルチャーショックを受けるのはゴール裏でアップしている選手達がピッチ内に・・・近い。近過ぎる。
セカンドチームには元U-19代表の渡辺凌磨(1996年10月生)が今季から在籍している。インゴルシュタットの東隣。レーゲンスブルクは、ユネスコ世界遺産に登録されるバイエルン州の美観都市。インゴルシュタットの人口は12万に対しレーゲンスブルグも同数。その距離間は一時間とかからない55キロ。しかし地元のクラブチームは一部と四部の格差。11月15日、セカンドチーム相手とはいえダービーとあって《四部では》大観衆に値する4300人。彼らが見守る中、後半15分渡辺はドイツでの初ゴールを決めた。
9月14日6節終了時点エールステ・ディビジの首位はFCフォレンダム。ヨングPSVは9位、ヨングアヤックスは16位 昨季財政難で減点されたトゥエンテの名前は順位表に見当たらない。日本でも馴染みの深いVVVフェンローは6位。降格には驚かされたNACブレダが10位。同じく昨シーズン一部組のドルトレヒトは8位という微妙な位置に。選手の集合写真と各選手のブロマイド。オランダ人が並ぶ中黒髪の東洋人はひと際目立つ。
日本では知る事のない日本人対決