そんな前半を経て始まった後半に驚かされたのは、親善試合で6人の選手交代が認められている状況下で、両チーム共に選手交代が行われずに始まったこと。
後半開始早々には良い形でボールを奪った細貝から的確に展開され、本田がバイタルエリアで前を向いて果敢にドリブルで仕掛けてゴール前中央の至近距離で直接FKを獲得。しかし、本田の左足キックは壁に当たり、試合終盤にもFKを壁に阻まれた主将・本田は”お疲れモード”でした。
その後、試合の方は選手交代が多くなり、日本は58分に最前線の皆川に替わって、この日3人目の代表デビューとなった注目の”大学生Jリーガー”武藤を投入して固定したFWを置かずに前線をフレキシブルな布陣にして動きを出し、システムも【4-3-3】から相手DFの背後を取れる岡崎と武藤を2トップとする【4-4-2】にして、同点を狙おうとした矢先でした。
70分、右サイドからのクロスを絞って対応した酒井宏樹が何故か中央へクリアし、ゴール前でロデイロに拾われて決定的なシュート。これは1度は防いだものの、こぼれ球を途中出場のアベル・エルナンデスに押し込まれて追加点を許し、2-0。
この後、反撃に出たい日本でしたが、選手交代も遅く、逆に相手の時間稼ぎに。またシステム変更も相手に読まれて対応されて効果を発揮出来ずに中途半端な展開に。
結局、87分にバイタルでボールを受けた武藤がブラジルW杯のコロンビア代表ハメス・ロドリゲスばりの胸トラップからのハーフボレーによる左足ミドルシュートが枠を捉えたものの、ハメスのそれとは違って武藤のシュートはポスト直撃して外れしまい、そのまま無得点で終了。
何とも中途半端で煮え切らないアギーレ・ジャパンの船出となってしまいました。
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ポジティヴなデビュー戦となった酒井、皆川、武藤、森岡~新監督と新主将にも温かい良い兆候
ポイントを見出し難い試合内容と結果でしたが、”新戦力”となった代表デビューとなった4選手からはポジティヴな反応が見られました。
これまでの4年間でのアルベルト・ザッケローニ監督の体制下では終始先発メンバーが固定されて新戦力がなかなか出場機会を掴めない上で、出場しても少ない出場時間と戦術や周囲との連携を意識し過ぎてノーインパクトに終わる事が多かったのとは対照的でした。
坂井は先制失点に絡んだものの、世界屈指の激しさを持つウルグアイを相手にしてもタイトな寄せでカヴァー二というワールドクラスのFWを相手にもタフに対応。大卒ルーキーでもある皆川は堅守を誇る相手にCB2人を相手にしても互角に対応してチャンスに絡んでいた事。そして、彼等2人は世界的強豪相手に先発起用された事が大きな経験値となるでしょう。
途中出場だった武藤もこの日最もゴールを想起させたシュートを放ったり、スピードやドリブルでアクセントとなるなど、今最も”時の人”と言える話題性だけではない実力もアピール。終盤のみの出場となった森岡は少ない時間でチャンスメイクし、2人とも「次はもっと長い時間観たい」と思わせるポジティヴなプレーを披露しました。
また、”新戦力”という意味ではアギーレ流の叱責にも理路整然としたモノがありました。それは先制点となった場面。坂井のトラップミスは致命的でしたが、坂井に対してでなく、消極的なバックパスの選択とそのバックパスの精度への問題を指摘した点に、長い目で見て行く覚悟とアグレッシヴさの追及と共に温かさも感じました。
そして、その温かさには先制された直後のキックオフによる再開で、”新主将”本田がミスした坂井へボールを預けて精神的に落ち着かせるという温かい一面も観る事ができました。
そうして、細部を切り取って観ていく事で、アギーレジャパンの初陣を新たな船出としてポジティヴに見守りたいと思います。
そして、そんな日本でのアウェイ戦となる親善試合にも関わらず、ウルグアイが本気で挑んでくれた事に感謝して、総括を締めさせていただきます。
最後に個人採点をお楽しみ下さい☆
先発出場選手・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
GK川島永嗣 5.5 ファインセーブもあったが、”違い”は見せられず。