とはいえ、現役選手としてはJリーグのクラブが獲得できる次元にはないほどの高嶺の花だったエスナイデル。指揮官としては実績に乏しくとも、Jリーグにやって来たエスナイデルは、世界のトップを知る現役時代からの経験に期待がかかる。
また、今回の就任に際して、高橋GMは4人の候補者を立てた中で、「面談の時点で今季の千葉の試合を20試合ほど観て、そのプレー分析や課題、強化・解決策を具体的に示して来た」という熱心な姿勢も好材料。
その上で個人的に期待したいのが、新加入のアルゼンチン人FWホアキン・ラリベイ。2013-2014はラージョ・バジェカーノ、2014-2015はセルタ・デ・ヴィーゴという共に当時のスペイン1部リーグに所属していたクラブに在籍し、2年連続で二桁得点を挙げたFWだ。
ラージョもセルタも予算に限界がありながらも攻撃的なパスサッカーを披露していたチームなだけに、そこで得点を量産していたFWの加入は大きい。昨季はUAEでもプレーしてアジア経験もある32歳の同胞のFWは、エスナイデルとしても心強い。彼を軸にチームを固めていくはずだ。
また、現役時代のエスナイデル氏のようにフィジカルだけで得点を量産するだけでなく、それをキープ力に使って攻撃の起点となれる付加価値をつけられるか?スペインリーグ屈指の知的でエレガントなFWだったエスナイデルが、その指導法で32歳のFWにさらなる可能性を拡げられるか?は今後のチーム作りにも関わって来る。
クラブのレジェンドでもあるサラゴサではBチーム、トップチームの監督としてはコルドバとヘタフェのみという指導歴の浅さや、成績不振による早期解任ばかりの経験で不安な面もあるが、「個人」が占める割合が広い欧州のサッカーの中で「組織」を重視していた事が向こうでは上手くいかなかったようにも感じられた。意外とこういったタイプの指揮官が日本で成功するのかもしれない。
そして、少なくともエスナイデルには自身のような確固たる点取り屋となる日本人FWも育成してもらいたいものだ。