遂にアジア相手でも勝てなくなった日本代表
【男子・東アジアカップ第3戦】
日本1-1中国
得点者
<日本>武藤(41分)
<中国>ウーレイ(10分)
北朝鮮相手に敗れるのが「日本サッカーの現状」で、韓国相手に「弱者のサッカー」を選択
海外クラブ所属選手の招集に拘束力がない今大会はJリーグに所属する選手のみから選考された“日本代表”というよりも、“Jリーグ選抜”という印象の東アジア杯の日本代表。それも中国移動の直前までJ1リーグが開催されているなど過密日程でコンディション不良が危惧されている状況でした。
ただ、2年前も優勝したとはいえ、その大会でも練習時間がほとんどなく、代表経験の浅い“Jリーグ選抜”であったため、チーム戦術や連携というよりも、選手個々の技術・メンタル・個性が試された末の優勝でした。
そんな中で迎えた今大会の初戦・北朝鮮戦の先発メンバーには、DF槙野智章やFW宇佐美貴史といったヴァヒド・ハリルホジッチ監督の就任後は出番の多くなった選手を中心に構成された上で、右SBに遠藤航、トップ下に武藤雄樹というデビュー戦を迎える選手が入ってスタート。開始3分で、この“じゃない方コンビ”の遠藤のクロスに武藤が合わせて先制したものの、監督の要求する「縦に速い攻撃」を優先した結果、追加点を奪えないままにガス欠を起こし、後半は防戦一方。終盤に単純なロングボールの放りこみから2失点しての逆転負けを喫した後、指揮官は「これが日本サッカー界の現実」と、日本サッカー全体を痛烈に批判しました。
そのFIFAランク129位の格下相手の敗戦から中2日で迎えた韓国戦では先発メンバーを初戦から5人を変更。守備陣は左SBに太田宏介が入った以外は変化なし。前線は右サイドの永井謙佑以外は変更という対照的な選択があったメンバー選考。特徴としてはサガン鳥栖所属で代表デビューを迎えるMF藤田直之をアンカーとして起用した事。その役割はハビエル・アギーレ監督体制下の長谷部誠のようなパスワークの起点や攻守の要の役割ではなく、2010年の南アフリカW杯直前からアンカーを託され、守備専任のMFとしてプレーした阿部勇樹の役割そのもの。ハリルホジッチ監督曰く、相手の方が強いと見越しての守備重視のイレブンが組まれた模様の<4-1-4-1>と言える布陣でスタートしましたが、試合開始から「弱者のサッカー」を選択した日本は自陣に引き籠った守備ブロックの構築を優先し、全く攻撃を仕掛けられず。韓国にPKで先制されても流れは変わらずに押し込まれ続けました。ただ、この日正式に記録した前半唯一のシュートとなる山口蛍の弾丸ミドルが決まり、前半終了間際に同点。後半も引いて守る日本に対して韓国は攻めあぐみ、日本はチャンスすら作れずに終了。両者共に煮え切らないドローという塩試合に終わりました。
スルガ銀行杯を控えるガンバ大阪所属4選手がフル出場
そして迎えた最終戦。相手の中国はこの日の第1試合でドローに終わった韓国VS北朝鮮の結果により、日本に勝てば優勝できる開催国としてのモチベーションが高い状態で迎えました。
一方の日本は優勝の可能性が2試合で消滅。特に第2戦は「弱者のサッカー」を選択した事で新戦力のテストにもならない消化試合となり、第3戦の人選・戦略にも懐疑的な目が注がれていました。
先発メンバーは、中国戦の2日後に当たる8月11日に南米王者であるリヴァープレートと対戦するスルガ銀行チャンピオンシップを控えているガンバ大阪所属のGK東口順昭、DF丹羽大輝、米倉恒貴、FW宇佐美の4人を含む韓国戦からの6人の変更。
宇佐美以外のガンバ大阪所属3選手が代表デビューを迎えるというガンバ大阪にとっては“イジメ”のようなメンバー選考でスタートしました。