直後に流れに入れていない遠藤は柴崎と交代。武藤と並んでブラジルW杯後に時代の日本を背負うべき存在として期待を受けるホープに、この土壇場で頼る事になりました。
柴崎は手を替え品を替えて攻撃のアイデアを出し尽くし、武藤も溌剌とプレーするうちに、いつしか試合は一方的に日本が押し込む展開となり、65分には早々と3枚目の交代カードを切るアギーレ監督は、岡崎に替えて長身FW豊田を投入。
豊田は直接シュートに至るようなプレーこそなかったものの、相手DFとボールのないところでつば競り合いを演じて前に出る姿勢を潰す事に成功。これによりバイタルエリアではフリーで前を向ける日本の選手が急増。
そして81分でした。柴崎がバイタルで前を向き、狭いスペースながらも本田とのワンツーで前進。リターンパスをダイレクトで右足一閃したミドルシュートがゴールネットに突き刺さって、20本以上(UAEは3本)のシュートを放っていた日本がついに1-1の同点に追いつく。
しかし、この後再三迎えた決定機を香川がGK正面や枠を外したり、豊田もGKと交錯しながら“らしさ”を見せて決めるか?と思わせながら外して決定機を決めきれずに延長戦へ。
延長に入ってからは早々にアクシデント発生。この試合の序盤に失点を食らった以上のアクシデント。長友が長谷部の長くなったパスに無理してダッシュした瞬間にハムストリングらしき場所を負傷。交代枠を使い切っているため、以降は足を引き摺ったり、ケンケンしながら歩くのがやっとの長友をなぜか左SBの位置のままプレーさせたため、左サイドのスペースから攻撃を仕掛けられず。延長後半になって柴崎が右SB、高徳を左SBに回すも、決定機と言えるほどの攻撃は見せられず。直接FKも本田や柴崎が惜しいキックがあっても決めきれずにPK戦へ。
PK戦、1人目の本田が豪州というラグビーの地でラグビーキックを見せて大きく外し、その後はUAEが1人失敗した中で、日本の4人はリカバリーするも、6人目の香川が120分の戦いと同様に力み過ぎて失敗。頼みの守護神・川島は1本も相手のキックを止める事は出来ず。日本は30本以上のシュートを放ちながらベスト8敗退でアジアカップを終えました。
グループリーグから続いた中東勢との4戦目でPK戦とはいえ敗れた日本。開催国は豪州で、対戦相手は中東だけという、アジアカップに参加したのか?中東カップに客演参加したのか?よく分からないまま敗退。ベスト8敗退は92年の初優勝以降では96年の加茂周監督時代以来2度目の低い成績でした。八百長疑惑でピッチ外が国内で味方してくれないアギーレ監督の去就、代表復帰したベテラン選手の今後にも波紋を呼ぶ敗退でした。
では、少し辛口な【選手採点】をお楽しみ下さい☆
【選手採点・寸評】
選手 | 採点 | 一言 |
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GK川島永嗣 | 5.0 | 相手のシュートも飛んでくる事もなく、序盤のマフブートの突破を飛び出して防いだぐらい。PK戦では1本目からオマルにパネンカ(PKでチップキックを蹴る事=1976年のEURO決勝でチェコ代表アントニーン・パネンカが決めた事から命名)を決められてリズムを崩して1本も止められず。 |
DF酒井高徳 | 7.0 | 彼だけが唯一自分のフルパワー以上のモノを出そうと献身していた。カウンターを受けても驚異的なスピードで防ぐ事も多く、長友が負傷するようなタフな状況も乗り切った。オマルの頭突きにも勇ましく反応を見せるなど、メンタルも強い。今後の日本の軸とすべき選手として引っ張って欲しい。 |
DF吉田麻也 | 5.5 | “アジアカップ男”にセットプレーの好機はやって来ず。基本的にはミスは無かったが、プレミアリーグで主力を張りたければ失点の場面のアレを個の対応で防げないと無理。 |
DF森重真人 | 5.0 | 失点場面のフワフワした対応は脆かった。これがJリーグの限界なのか?セットプレーのチャンスに合わせたヘッドも複数回ありながら不発に終わる。 |
DF長友佑都 | 5.5 | 大会通してあまり効果的なプレーは見せられず。延長前半に負傷して痛々しいままのプレーを続けたド根性は感動的だが、やはりここ1年ほど下り坂に差し掛かっている感があるかもしれない。 |
MF長谷部誠 | 5.5 | さすがと思わせるインターセプトや狭いコースでのボール運びなどもあったが、疲労は感じた。立ち上が地に過去3試合と比べてピンチがあったのは彼の安定感が少し下がってたから。 |
MF遠藤保仁(54分まで出場) | 5.0 | これが限界か?ヨルダン戦もそうだったが、守備力が低いとかでなく、流れについていけていない。交代直前で武藤へ送ったクロスは最高級だったが、あれが唯一の仕事。「サッカーに年齢は関係ない」に異議アリ。もっとも、昨年のガンバのようにアンカー役でならアリだと思いますが。 |
MF香川真司 | 4.5 | PK戦のキックが象徴するように常に力み過ぎてシュートを外し過ぎた。押し込んだ時のショートパスの奪われ方はザッケローニ時代を感じさせた悪い癖。PK戦のキックよりも90分の間に決めきる機会が彼には幾らでもあったはずだが・・。 |
FW本田圭佑 | 5.5 | 柴崎のゴールをアシストしたプレーなどシンプルに捌いた時に好プレーを見せ、セットプレーも良いキックがあったが、ドリブラーはないカットインには限界が感じられた。PK戦も理解に苦しくラグビーのキック。 |
FW岡崎慎司(65分まで出場) | 5.0 | 「いたのか?」と交代する時に気がついたと言えるほど消えていた。4試合1ゴールではストライカー1本では厳しいと言われても仕方ない。 |
FW乾貴士(45分まで出場) | 5.0 | この日はドリブルで打開しようとし過ぎたか?絡まって早期交代。せっかく代表でも主軸に登り詰め始めたのに・・・もったいない。 |