“Jリーグ・マイスター”青山敏弘
“真の王者”という固有名詞に若干の違和感があった明治安田生命JリーグCS。年間王者の称号は結局、リーグ最多得点(73)・リーグ最少失点(30)を記録した上でJリーグ史上最多勝点(74)を獲得したサンフレッチェ広島のモノに収まった。
そして、このCS決勝2試合を通してのMVPに選出されたのは、主将の青山敏弘だった。複数の得点に絡んだわけでもなく、むしろ相手にビルドアップを制限されてのプレーだったが、「強いチームに優秀なボランチ」の格言はその通りだろう。
青山の偉大さについては、筆者が言わせてもらいたい事が1つある。
2012年、2013年とサンフレッチェがJ1リーグ連覇をして来た中で迎えた昨年、彼は負傷で9試合を欠場した。復帰後もなかなかパフォーマンスが戻らない青山の不調もあり、3連覇ならずにリーグ8位に終わった昨年のサンフレッチェ。しかし、その青山がリーグ33試合に先発出場した今季は文句のつけようのない結果を出し、4年間で3度目のリーグ制覇を遂げた。
青山はミハイロ・ぺトロヴィッチ監督(現・浦和レッズ監督)に見出されて主力に定着したものの、もともと負傷が多い選手だった。そんな青山が初めてJ1リーグ戦で年間30試合以上出場できたのが2012年だった。2012年に34試合全試合に出場し、2013年には33試合、2015年は33試合。彼がフル回転出来たシーズンは全て優勝している。
ちなみに、優勝を逃した昨年のサンフレッチェの勝点は50ポイント。優勝したG大阪は63ポイントなので、その差は13。欠場した9試合やコンディション不良で途中出場になった試合もあった昨年、もし青山が完調だったなら4連覇も果たしていたかもしれない。
青山敏弘とは、そんな“Jリーグマイスター”なのだ。
しかし、そんなJリーグに置いて絶対的な支配者は未だに日本代表としては8キャップのみ。不思議な現状だ。