サッカーと仕事を両立しながらもインタビュー翌日には、「(JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝・第2レグの)ガンバ大阪VSヴィッセル神戸の試合を観に行きます」という彼女。Jリーグでも、なでしこリーグでも、時間が許す限りは色んなサッカーを観て来た。そんな彼女が影響を受けた選手は誰なのだろうか?
―――現在のプレースタイルを確立する上で参考にした選手や影響を受けた選手などいらっしゃいますか?
(澤田)「1番好きなのは、ずっとなんですけど・・・ガンバ大阪のMF遠藤保仁選手ですね。」
―――やっぱりそうでしたか(笑)。澤田選手がグランダーの縦パスを出す時、インサイドキックなのかアウトサイドキックなのかが判別しにくい蹴り方をされてますが、あれは遠藤選手のキックを・・・盗まれました?
(澤田)「バレました?ずっと好きなので(笑)。」
―――バレてます(笑)。
(澤田)「遠藤選手のあの“ゆっくり”のプレーからピシーッとつけるパスとか、ゆっくりのところはゆっくりと落ち着かせるとか。」
―――「ターンしろよ」、「リターンパス返してね」などのメッセージ付きのパスですね。
(澤田)「それです!ホント大好きです。」
―――澤田選手はその遠藤選手に負けないぐらい、周囲を見渡す“首振り”の動作の数では日本No.1の多さだと思います。周囲を見渡す時、どの辺りを見ているのですか?
(澤田)「いえいえいえ(笑)。私はまず近いところを見るようにしています。何人選手がいるか?を確認して、次に遠くを見て、『1対1の勝負ができる局面があるな』と思ったらサイドを変えます。でも、『サイド変えても詰まるな』、と思ったら、人数が多いサイドのままで展開しています。特にウチのチームの中では10番の松田望選手(上記写真左)を意識してプレーしていますね。」
―――システムが<4-2-3-1>なのか、<4-3-3>なのか?あるいは澤田選手がマイボール時にDFラインに引くと<3-3-1-3>など、流動的に変化しています。その中で澤田選手の明確な役割は?
(澤田)「システムは流動的にやってますね。やっぱり、まずは松田選手の足下へ付けるパスですね。どんな状況でも彼女が動き回りながらも、絶対にフリーになるポジションにいてくれるので。そこにパスを付けれれば良い形になりますから。」
―――ちなみに遠藤選手はまず遠いところを見るようにしているそうです。「遠いところを見ていると間接視野で近いところも見える」という考えのようです。
(澤田)「確かにそれも良いと思うんです。ただ、それは“男子だから”、なのかもしれません。男子だったら遠くでもキックが余裕で届く大きな展開ができるんですよ。女子だと本当に良い位置にボールを置いて、ちょっと中に向かってドリブルして・・・とかじゃないと、なかなか届かない時があります。なでしこリーグの1部とか2部でならロングフィード蹴れる選手はいるんですけど、私はキック力があまりないので1本ではなかなか。かなり良いボールの受け方をしないと出来ない部分はありますね。」
―――という事は、すでに現役を引退されましたが、日テレ・ベレーザなどで活躍されたMF原菜摘子さん(※2)のようなプレースタイルが理想なのかもしれませんね。
(澤田)「あ~っ、確かに。あの人はホントに背中に目(眼)がついているんじゃないかな?と思える選手でした(笑)。実は私と同い年なんですけど、尊敬する位置にいる巧いMFでした。」
※2 原菜摘子・・・強豪・日テレベレーザの中盤を支えた技巧派MF。2016年1月、当時26歳にして現役引退。サイドチェンジのような大きな展開をする時でも中央で中継地点となり、相手の意表をつける女子サッカーの面白さを凝縮したような選手だった。日本代表2試合出場。
―――昨年まで「スーパーアドバイザー」としてバニーズの強化に携わっておられた大木武さん(現J2・FC岐阜監督)の影響は、現在のチームにも反映されていると感じますか?
(澤田)「直接的に選手に指示をされるようなことはあまりなかったのですが、千本(哲也)監督も含め、大木さんのアドバイスから取り入れたことは、トレーニングメニューからプレーや判断など多いと思います。特に去年1年で大木さんのアイデアを吸収できた部分はかなり多かったと思いますし、今のチームにとって大きなことだと実感しています。」
―――今やっているサッカーの教科書的なガイドラインを作っておられたんですね。
(澤田)「そうですね。『なるほど、こういうやり方があるんだ』と思う事が本当に多かったですね。実際にそれが試合で上手くいくんですよね。」