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クラブW杯準決勝、広島VSリバープレート~南米王者の前で惜しくも散った広島

 続く30分、サンフレッチェが攻守の切り替えから素早いカウンターを発動。青山のスルーパスが右に流れたドウグラスに通り、ドウグラスから中央フリーの皆川へグランダーのラストパスが流れるように芝を這う。しかし、皆川が懸命にスライディングで伸ばした足は僅かに届かず。

 32分には最終ラインからの縦パスを受けた皆川が、自ら柔軟なポストワークから裏へ抜け出したMF茶島へ絶妙なスルーパスを供給。エリア内でドリブルを仕掛けた茶島のシュートはGKの好守。

 40分には右サイドからドウグラスと柏が2人で縦に仕掛け、ボールはフォローしたMF青山の足下に。その瞬間、エリア内の中央でマークを剥がした皆川へ、青山が見事なラストパスを配給。皆川はトラップがやや後ろに流れるも、右足を振り抜いた強烈なハーフボレーシュートはゴールマウスの鋭いコースへ。しかし、三度のGKバロベロがビッグセーブで均衡を破れない。

 サンフレッチェに3度はあった決定機。試合の流れはサンフレッチェが完全に握っていた。広島勝利の予感を大きな可能性と感じる前半はスコアレスで折り返す。

周到なゲームプランで試合を運ぶも1発に泣く

 両チーム共に選手交代なしで迎えた後半。仕切り直したリバープレートは前半同様に序盤から圧力をかけて攻勢。開始早々にゴール前を横断するグランダークロスにサンフレッチェのクリアミスが重なって迎えた決定機もあったが、ここは相手も決めきれず。

 ワンプレー、ワンプレーに迫力や集中力、緊張感がある試合展開が続くが、そのまま膠着状態となっていくその時、「変化」があった。リバープレートのマルセロ・ガジャルド監督は57分という早めのタイミングで選手交代。チームが中盤の構成力を作れない中、守備型のダイナモであるレオナルド・ポンシオに替えて、ポルト(ポルトガル)やマルセイユ(フランス)で司令塔として活躍した技巧派MF“ルーチョ”・ゴンザレスを投入。そのルーチョが中盤の低い位置でボールを受け、素早くバイタルエリアへ幾度も縦パスを通す事で、リバープレートが初めて中盤を効果的に使い始めた。

 ただ、それもサンフレッチェとしては「想定内」、だったはず。相手がボールを持ち始めた時、浅野投入で相手の裏を一気に突く攻撃には、その方が有効だったからだ。そして、実際に66分に浅野は皆川と替わってピッチに。「プラン通りだ。勝てる」、そう思えた。

 しかし、72分。相手の右からのやや長めのFK。途中出場のMFダバレ・ビウデスが蹴ったファーサイドへのキック。今大会ここまで無失点を続けるGK林卓人がキャッチに行こうとした間から、相手DFホナタン・マイダナのヘディングで折り返され、ゴール前中央で絶妙のポジショニングをしていたエースFWアラリオに頭で押し込まれる。まさかのリバープレート先制。

 リードされたサンフレッチェは直後にエース・佐藤をピッチに送り出して攻勢に出る。ただ、Jリーグ最多得点記録に並んだ佐藤の得点感覚も、緻密なゲームプランを組む上での重要なピースだった浅野のスピードも、Jリーグでは稀有な打開力を誇るミキッチのドリブル突破も。それらはJリーグや今大会の準々決勝までは得点を生み出す専売特許とも言えるチームにとっての大きな武器だったが、それが南米王者にはプレーとして通用はしても、得点を生み出すような”違い”を作れる武器ではなかった。

 それでも終盤には塩谷のミドルシュートや、浅野がスクランブル状態から放ったシュートで同点弾を狙ったサンフレッチェ。しかし、その大健闘は及ばず。百戦錬磨の南米王者の前に散ってしまった。