KNVBカップ決勝を現地よりプレビュー Jリーグより低予算でも魅せます
久しぶりに欧州サッカーの現地観戦に訪れております。
筆者が選んだのは優勝が決まりそうなイングランド・プレミアリーグでも、再び“2強”体制になっているリーガ・エスパニョーラでも、いよいよ準決勝が始まる欧州チャンピオンズリーグでもありません。
現在、筆者はオランダに来ております。アムステルダムに滞在しており、ロッテルダムにある通称“デ・カイプ”ことフェイエノールト・シュタディオンで開催されるKNVBカップ決勝、PECズヴォレ対FCフローニンヘンを観戦予定です。だから、最近は急にオランダサッカーの記事を書き始めたわけなのです。
と言う事で、久しぶりの欧州サッカーの現地観戦ですので、筆者が持ち得る知識や試合前の情報などと照らし合わせてプレビューしたいと思います。日本では放送もないですし、まさか決勝まで3強が勝ち残れずに一見地味な対決になるとは・・、いやいや、だからこそ内容としては“オランダらしさ”の出る攻撃サッカーが期待できるのです。
(写真は現地のフットボールパブの看板。水色がズヴォレで、緑色がフローニンヘンです。)
12億円。これが昨季クラブ史上初のタイトルとなるKNVBカップ優勝を果たし、今季はその連覇を狙うズヴォレの予算です。Jリーグにはガンバ大阪というクラブがサポ―ターから寄付を集めて新スタジアムの建設資金に充てながら、その新スタジアムを自治体に寄贈するという運営をしているようなクラブもありますが、そのガンバ大阪ですら年間予算は40~45億円の範囲で運営されています。
そんなJリーグよりも予算規模が小さいズヴォレが昨年のKNVBカップ決勝で、約90億円という予算を持つリーグ4連覇中だったアヤックス・アムステルダムを倒すジャイアントキリングを起こしたのです。7倍以上の予算を持つクラブ相手に5-1と先制せれながらの大勝劇。守ってカウンター狙いではなく、痛快な攻撃サッカーで魅せて勝つのは称賛に値します。
「力が拮抗しているから」という理由で、すぐに自陣に引いてゾーンディフェンスのブロックを作るJリーグとは全く違います。そういう意味ではズヴォレと予算規模が同格の湘南ベルマーレが魅せる“湘南スタイル”と言われるサッカーはプレースタイルが似ているとは言えませんが、根底に流れるサッカーへのマインドが似ている気がします。予算は少なくても魅せられるモノはあるし、タレントも育成できる土壌がココにはあるのです。
ヤンス監督が植えつけた攻撃サッカーで偉業達成を狙うズヴォレ
オランダ東部のオーファーアイセル州の州都であるズヴォレにあるPECズヴォレは1910年に創設。100年を越える歴史の中で、オランダ国内のトップリーグであるエールディヴィジに所属するのは今季で僅か15シーズン目の小さなクラブです。過去最高順位は1979年のリーグ8位。エールディビジ残留が現実的な目標となるチームで、本拠地となるアイセルデルタ・シュタディオンの収容人数は10500人。J1ライセンスは15000人収容のスタジアムを本拠地としないと公布されないので、Jリーグ以下と言えるかもしれません。