Foot ball Drunker〔176〕visiting『Estádio dos Arcos』ヴィラ·ド·コンデ / ポルトガル

水道橋が歴史を物語る『伯爵の町』
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十六世紀大航海時代に造船で栄えたヴィラ·ド·コンテ。十八世紀に建てられたのは999の橋脚が全長七キロに連なる水道橋。その右端にはスタジアムの照明をフレームに収めた
街のシンボルでもあるキャラベラ船のレプリカの前で観光客が足を止める。三本マストに三角帆を装備したこの帆船は漫画·アニメ『ONE PIECE』ファンならばメリー号を見たヒロイン·ナミの発した一言を思い出すはず。


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最寄りの大都市はポルトから約25キロ。ギマランエスやブラガからでも50キロ弱。人口は八万人程度の小都市にフットボールクラブが誕生したのは1939年。市内を緩やかに流れるアヴェ川をそのままクラブ名に引用した。クラブ史に大きな足跡を記したのは1981-82シーズンの国内第五位。第174話は訪問したのは2018年4月。当初スペインにいるはずがポルト空港の搭乗口で不覚にも酔い潰れてヴァレンシア行きの便を呆然と見送る醜態。いくら安くて美味いからと言って二日寝てない時にワインボトル一本空けるべきではなかったか。出国の保安区域からロビーまで滅多に通ることのないルートを空港職員に案内される貴重な体験。さてポルト近郊でこの日試合が何処であるのか。調べるとリオ·アヴェの名前が。災い(正確には自業自得)転じて福とばかり、ヴィラ·ド·コンテへと向かう事に。


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このシーズン好調のリオ·アヴェは5位をキープ。かつてトヨタカップで二度来日したFCポルトとリスボンの二強、そして2010-11シーズンにはUEFAヨーロッパリーグ=ELのファイナルまで進み(※優勝はポルト)以降第四のクラブとして国内外で認知されているSCブラガ。
ちなみにこのELでのポイント荒稼ぎで‘12年にはUEFAランキングでフランス·リーグアンを上回り、残る14のクラブチームにも欧州行きの切符を手にする可能性があった。


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第176話はエスタディオ·アルコス。本年二月で守田英正:Hidemasa Morita【1995年5月10日生】への背後からのチャージで乱闘騒ぎとなったスポルティングCP戦は記憶に新しい。

今季のリオ·アヴェで注目はジョアン·ノヴァイスJoao Novais【1993年7月10日生】の六年ぶりの復帰。父アビーロ·ノヴァイス:Abílio Novais【1967年6月24日生】もプリメイラリーガ342試合に出場46得点のミッドフィルダー。89年からの2シーズンはFCポルトに在籍。ジョアンが十歳の誕生日を迎える2003年にスパイクを脱ぎ現在も指導者に。


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18年にSCブラガに移籍、翌19年のELプレーオフ。ロシアの強豪のスパルタク·モスクワとの初戦はホームの石切り場。スコアレスで前半を折り返し。後半ピッチに入ったノヴァイスはいきなりイエローを貰うものの29分右サイドからのマイナスのクロスに中央を疾走したノヴァイスがダイレクトでシュート。と思われたボールは左前方のリカルド·オルタRicardo Horta【1994年9月15日生】へ。左足で弾かれたボールがネットを揺らした。

ノヴァイスは2016年のリオ·アヴェ在籍時にもELプレーオフを経験している。この時はアウェーゴール差でチェコのスラヴィア·プラハに屈している。エスタディオ·アルコスのショーケースにはトロフィーと並んで国際試合を記念したペナントが展示されている。二つ作って一つは試合開始前相手の主将に手渡す品。下写真は2014年ELプレーオフのもの。この時は1-0の勝利。アウェーゴール差でエルフスボリを退けて歓喜の本戦初出場。ちなみに予選三回戦もIFKヨーテボリでスウェーデン勢を連破しての快挙だった。


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