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サラル&サリアリオールから派生した悪の集団
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上写真は2019年のUEFAヨーロッパリーグプレーオフの結果を伝えるトルコの紙面。トラブゾンスポルとAEKアテネが対戦したから危険極まりない。1916年にはニコライ·ニコラエヴィチ:Nicholas Nikolaevich【1856年11月18日生-1929年1月5日没】大公によって占領された黒海沿岸のトラブゾン県。抵抗組織を設立しロシア軍に激甚な損害を与えた勇敢な英雄はサリアリオール家。トラブゾン市のオフ地区はオスマン帝国時代から続く名門サラル家&サリアリオール家によって百五十年もの間統治されている。人口44,527人のこの地区での市長選挙に出馬した候補者五人中四人が同一姓。1874年からはオフ市長は一族の独占状態。住民の大半が親戚関係だから別に不思議ではない。そして、この家族の輪はトルコ国内だけでなく国境を越え広がりを見せる。
オクタイ·サラル:Oktay·Saral【1967年3月18日生】は1999年から2011年までオフ市長を務めた後、国政へと進出。2016年から大統領首席顧問に任命され現在も務めている。ジェヴデット·サラル:Cevdet Saral【1971年生】アンカラ警察大学および警察アカデミーを卒業。イスタンブール大学で修士号を取得しており治安総局テロ対策部長や治安副局長、アンカラ警察署長を歴任。2008年に退職してからは安全保障協力会議に参加し、多くの国で代表団の議長を務めた国際派。
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映画やドラマに登場するマフィアのような血縁集団の非合法組織がドイツにもかなりの数実在するが、彼らは難民として侵入したトルコ国籍のクルド人。国家はなくとも独自の言語と文化を持つ多数派民族の問題は埼玉県川口市だけの話ではない。
トルコ本国で暗躍するターキッシュマフィアは大きく四大派閥に分けられ2004年から2017年にかけて《サララル》マフィアとシャヒンレルは深作欣二:Kinji Fukasaku【1930年7月3日生- 2003年1月12日没】監督も驚く仁義なき抗争を展開。この間二十三人が命を落としている。トルコで二番目に大きな犯罪組織が密かに狼煙を上げたのは’80年代まで遡る。
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2023年11月、オズギュル·サラル:Özgür Saralを含む二十四人が検挙され当局は犯罪組織サララルの壊滅を発表した。罪状はエセンユールト地区にある住宅団地内での武器を使った脅迫と略奪し苦情を申し立てた住民や民間警備員への暴行。更には賃貸書面の偽造、団地の住民を脅迫して売春行為強要、計画的な殺人を企てるなど悪の限りを尽くしている。Sözcü TVはサララル犯罪組織には三万五千人以上の支持者がいると報道。その後もブルサを拠点とするサララルから二十七人が逮捕された。
これだけ同姓がいれば、日本の佐藤さんにだって好い人もいれば、中にはそうでない人もいる。それにしてもサラル&サリアリオールファミリーほどの悪い人はどこを探しても間違いなくいない。トルコやエジプトならば政財界の大物には表とは別の裏の顔があり、非合法の資金源が存在しているのは本当にフィクションの中だけなのだろうか。
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⏹️写真/テキスト:横澤悦孝 ⏹️モデル:森川あづさ