Foot ball Drunker〔170〕visiting 『Elindus Arena 』ワレヘム / ベルギー

虹のスタジアムで躍動したヤーパン

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オリンピックに始まりタスキを引き継いだパラリンピックも無事閉幕。五輪の音楽といえばゆず。新曲『図鑑』がオンエアされたのは7月12日。2004年のアテネ五輪の『栄光の架け橋』、数々の名曲が選手たちの背中を押してきた。中でも個人的に傑作と思うのがバンクーバー五輪で披露され『虹』「超えて 超えて 超えて」と伸びのある高音でハモるサビを初めて耳にした時鳥肌が立ったのを覚えている。

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第170話はズルテ·ワレヘムの本拠地エリンダス·アレナ。現在もレーゲンブーグ=虹のスタジアムと呼ばれている。
1957年のサイクリング ロード世界選手権開催を目的として着工。当初は上から見れば楕円形で自転車用トラックと片側メインスタンドのみ。その後後に陸上競技用に改修が施される。この大会で選手達はワレヘム池に架かる大きな橋を通ってスタジアムに入った。

優勝者はリック·ファン·ステーンベルヘン:Rik van Steenbergen【1924年9月9日生-2003年5月15日没】。
この選手権から遡ること三十年。初のプロ選手による自転車レース大会が1927年にドイツのニュルベルク·サーキットにて開催され優勝者には五色のレインボージャージが贈られた。
過去にコペンハーゲンで開催された大会で二度世界一に輝いたステーンベルヘンが通算三度目(市場最多)の二連覇を母国で達成した栄光のスタジアム。つまりスタジアムの名前の由来は自転車レースのレインボージャージ。


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中国戦に続き、敵地でのバーレーン戦も0-5と圧勝した昨日。上田綺世:Ayase Ueda【1998年8月28日生】が振り向きざまに放った強烈な一撃には目の前五人の相手選手が呆然となるのも納得。2022-23シ-ズンのジュピラー·プロリーグ34節。セルクル·ブルッヘに敗れて二部降格が決定した試合では当時所属していた上田に得点を決められている。ベルギーでの初ゴールを決めた試合も第6節ズルテ·ワレヘム戦だったから上田にとっては相性が良くワレヘム·サポーターからすればブーイングの対象に。


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原稿にするにあたり、この試合のゴールシーンをあらためてDAZN Japanの動画で確認した。ワレヘムの門番は主将のサミー・ボス:Sammy Bossut【1985年8月11日生】。’14年のFIFAワールド杯ブラジル大会にマルク·ヴィルモッツ監督が招集したベルギー国内最高のゴールキーパーから奪った記念すべき欧州初ゴール。出場試合数500を数えるボスは’06年に加入してから、17年間ワレヘムに在籍。国内外の強豪でプレーすることなく当時スター集団のベルギー代表選出は異色。二部降格に伴い38歳のベテランキーパーもグローブを外すのかと思いきや四部のクラブへ。


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上田がゴールを決めた瞬間、目の前には懐かしのボルハ·ロペス:Borja López Menéndez【1994年2月2日生】の姿が映し出されていた。スペインのヒホン出身。フレン·ロペテギ:Julen Lopetegui 【1966年8月28日生】が指揮するU20代表に18歳のロペスが招集されたのは’12年。その恩師がA代表監督へとステップアップした’16年の年明けにはロペスもFCバルセロナに加入。前年三冠を達成した当時不動のメンバーに21歳のセンターバックが割り込む隙間は微塵もなかったがルイス·エンリケ監督は、同年のコパ·デル·レイ(エラクレス戦)に起用している。
一試合だけとはいえバルサのトップチームでスタメンの勲章を胸に翌17ー18シーズンはクロアチアの強豪HNKハイドゥク·スプリト  へ。UEFAヨーロッパリーグ予選からレギュラーに定着。レフスキ·ソフィア、ブレンビーIFとのH&Aにスタメンフル出場しているが、ロペス不在のエヴァートン戦で敗退し後一歩本選に辿り着けなかったハイドゥク。その後はスペインからベルギーへと戦場移すもワレヘムとの契約終了した今夏、所属が現在も未定で気になるところ。