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『育成のセレッソ』は男子だけじゃない!【プレナスなでしこリーグ2部7節、C大阪堺Lvs日体大F】

課題は“伸びシロ”でしかない17歳の本格派FWの現在地

写真2:荒川恵理子

 試合巧者ぶりを発揮した日体大Fに対して、C大阪堺Lの若さは諸刃の剣になるのかもしれない。そして、そんなC大阪堺Lを牽引するFW宝田は開幕からの連続得点の記録もストップ。孤立する場面が多く、日体大Fの攻撃に頻繁に絡んで起点となった元日本代表FW荒川(上記写真、9番)とは対照的な出来に終わった。
 
 自身のシュートこそ1本で、しかも決定機で決めきれなかった荒川だが、豊富な経験を活かした相手DFとの駆け引きと共に、37歳ながらもフィジカル能力の高さを遺憾なく発揮した。前線に送られた5分5分のボールに対して懸命に自身の体に当ててマイボールにすると、何度も巧みな身のこなしでマークについたC大阪堺Lの若いDF達をスクリーンアウトして突破した。ショートパスによる細かい繋ぎの場面でもワンツーの的として柔軟なポスト役となり、荒川の存在によって日体大の攻撃は中央へのクサビの脅威とそれによって出来るサイドのスペースを活かしたワイドな攻撃も活きた。
 
 ポゼッションとカウンター、ロングボールとショートパス、速攻と遅攻など、様々な攻撃の形を見せた日体大Fには荒川の存在感が大きかったのに対して、宝田はカウンター時の急先端として脅威を与えた。ただし、ゴール前に人数が密集した状態ではあまり効果的にボールに絡めず。終盤は攻撃的な選手を投入するチームの中で中盤に下がってプレーするなど、苦しい場面で自ら試合を決めるような存在にはまだまだ遠いのかもしれない。
 
 大ベテランの荒川とは違い、適応できるプレースタイルと状況判断はまだまだ。何と言っても年齢が37歳と17歳。2倍以上の年齢となる女子サッカー界のレジェンドと比べるのもお門違いだ。ただ、実は身長は宝田が168cmで、荒川の166cmを2cm上回っている。足下の技術に長ける宝田はポストプレーも上手いが、今後は身体全体を利用する術を体得できれば、一回りも二回りも大きな存在になるだろう。
 
 育成型クラブであるのはもちろん、森島寛晃や西澤明訓、大久保嘉人(現・FC東京)など、日本人の点取り屋を輩出して来た稀有なクラブであるC大阪。女子にも本格派の点取り屋が誕生した事実は誇らしい限りだ。

 課題は“伸びシロ”でしかない17歳の得点女王=宝田。新たな目標とするFWが見つかったという点でも有意義な試合だっただろう。