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必殺の“ウノ・ゼロ”~完封率5割超えのハリマが勝利!【プレナスなでしこリーグ2部第15節、ASハリマVSオルカ鴨川】

シーズンを通して成熟してきたオルカに苦戦


 試合は立ち上がりに左サイドから復帰3試合目のハリマ・千葉が仕掛けての高速クロスに、1トップのFW内田美鈴の頭に僅かに合わなかった鋭い攻撃が飛び出したが、それ以降はオルカが試合のペースを握る。

 組織的に丁寧に構築された両サイドからの攻撃に対して引いてしまったハリマ。これにより、オルカのボランチ2枚=松長姉妹を自由にさせてしまう時間帯が続いて押し込まれた。特にオルカの左サイドからの攻撃に手を焼き、クロスから合わせられるシーンが立て続けに見られた。

 ただ、ハリマはトップ下のMF虎尾直美がポジションを下げて対応し始め、ボランチのように振る舞う彼女のバランス感覚で何とか盛り返しに成功。その上で千葉がいる左サイドで攻撃の起点を作り、フィニッシュは右へ。ハリマ・田渕径二監督の「裏を狙え!」という指示が盛んに飛ぶ中、その声の先は常にチームトップの6得点を挙げている右サイドMF葛馬史奈に向いていた。

 「左」で作って、「右」で仕留める意図は明確だったのだが、前半はその右が守備で裏を取られる事が多く、37分頃にはオルカの波状攻撃からクロスバー直撃も含めてゴール前で連続してシュートを許した。40分にもペナルティエリア内でフリーでシュートを許す場面も。

 それでも、ハリマは守護神GK切畑琴乃の好守に救われ、スコアレスで前半を折り返す。

ファストブレイクから値千金の決勝点


 両チーム共に選手交代なしで入った後半だったが、前半から盛んに聞こえていた田渕監督の「裏を狙え!」という指示が奏功する。

 後半開始早々の48分、右サイドを抜け出した葛馬はゴールライン際まで突破し、さらに中央へ向かって自らのドリブルで抉る。その葛馬のグランダーの折り返しを、ゴール前の混戦の中からFW内田がゴールに押し込み、ハリマが値千金の先制点を挙げる。

 両チームが守備から入る手堅い試合になることが予想されたため、有効となるのはボールを奪ってから直後に縦のスペースを狙う攻撃。バスケットボールで守備から攻撃への切替時に相手が戻りきる前に一気に攻める“ファストブレイク”なる速攻が実った。

 ただ、怪我上がりの千葉が出場時間を伸ばしたものの、彼女が61分にベンチに退いてからはハリマが押し込まれる展開が続いた。時より繰り出すカウンターから1トップの内田が抜け出して、GKとの1対1を迎える決定機もあったが、それをモノに出来なかったのも痛かった。

 それまでは自身の攻撃性能を示していた左SB藤澤真凜の攻撃参加も皆無となり、オルカの組織的な攻撃の前に耐えるのみとなり、後半だけでCKは実に7本も許した。

 それでも、「12人目のDF」クロスバーにも助けられ、この虎の子の1点を守り切ったハリマが2試合ぶりの勝利を挙げ、3試合連続の無失点も記録。千葉の復帰と共にチームは好転し始めている。(以下、順位表参照)

完封率5割超えの堅守支える“2部最高のGK”


 リーグでは15試合目で8度目のクリーンシート(完封)を達成したハリマ。この日のMVPには好守を連発したGK切畑が選出。「2部では最高のGK」とも言われる彼女は、公称165cm75kgという体格により相手FWに威圧感を与える事ができる稀有なGKだ。相手FWとの1対1に強いのも、その風格と雰囲気で相手を“殺せている”からだろう。ただ、ヒロインインタビューでは試合中には見せないホッコリとした笑顔も印象的だった。

 三重県出身ながら、切畑は日ノ本学園高等学校、日ノ本短期大学を卒業して加入した生粋のアルビオンっ子。高校時代は同学年で現在の1部の強豪・INAC神戸レオネッサの正GK武仲麗依とポジションを争った。プレースタイルで言えば武仲の方がトレンドに沿ったGKで、ゴール前にどっしりと構える安定感が特徴の切畑はオールドスタイルかもしれない。ただ、1部と2部の違いがあるとはいえ、現在もなでしこリーグの舞台で堂々とプレーする2人は自分の強みを活かして今でも良きライバルとして意識し合っているだろう。

 そんな好守連発の彼女でもビッグセーブのたびにスタンドから飛び出す独特のニックネーム“コットン”だけは止めることができないようだった。

【フォトギャラリー】


2部初昇格で3位に大躍進しているオルカ鴨川FCイレブン!

高槻や伊賀など昨季まで1部で主力を担っていたオルカDF武田ありさ(背番号2)。

千葉園子VS武田ありさのマッチアップは迫力満点!

ハイ、おまかせしま~す!(笑)

ジャンケン大会

いつもならユースの選手がバックで踊るハーフタイムショーも2人。りんりん社長「台風で延期されても御来場くださった皆様に感謝の気持ちを込めて歌います!」

苦しかった終盤は上手く時計の針を進めるのもサッカーです。

勝利のラインダンス!

勝利のラインダンス<サポーター編>

試合直後に来場していたサッカーキッズたちにサインするFW葛馬史奈・FW内田美鈴・DF藤澤真凛選手。