美の女神と酒の神ゆかりの島を照らす太陽の恵み
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国連によるSDGs採択から十周年を迎えた本年。’19年に欧州グリーンディール政策を打ち出したEU。翌20年には再生可能エネルギーの発電電力量が化石燃料を上回った。そして昨年は太陽光が急成長しておりそれだけで石炭火力を抜いている。偏らず何れの国でも高めていると聞いて些か驚いた。二十年前ぐらいから列車での移動中、車窓からプロぺラ風車がやたら目に飛び込んでくる。風力が伸びているのには合点がいく。しかし太陽光パネルをあまり意識したことはない。唯一例外をあげるならば美の女神生誕の国キプロス共和国。
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国土面積は四国の半分でも堂々たるEU加盟国。その中でも一際趣を異にする。同国経済の約18%を占めている主幹産業は観光。パームツリーを眺めながら商業港湾都市のラルナカをドライブ。昨年三月の訪問なのに半袖短パンで過ごせた。年間平均晴天日数は三百を超え、グリーンディール政策以降はソーラー発電量が五倍に増えたキプロス。’22年に政府は太陽光発電と住宅の断熱改修への補助に注力し、家庭用太陽光パネル設置に対しては補助額を倍増にしたから拍車もかかる。見掛けたタンクにThriamvos Solar Heaters 社のロゴ。創業は’93年だからJリ-グと同年齢の太陽光温水器メーカー。ラルナカ北西部に位置する同社の工場を通り過ぎ、市内よりに3キロほど走るとAEKアレナに到着。
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欧州の国際試合にエントリ-する日本人フットボ-ラ-は何処まで増えるのか
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今季のUEFAコンペティション本選が先週開幕。チャンピオンズリーグでは四人、ヨーロッパリーグ(EL)でも五人の日本人がピッチ上に登場した。来月幕を開けるカンファレンスリーグにも五チーム七人の同胞がエントリーしている。10月2日の初戦では毎熊晟矢:Seiya Maikuma【1997年10月16日生】のAZアルクマール、23日には鎌田大地:Daichi Kamada【1996年8月5日生】のクリスタル·パレスとの対戦が決定しているAEKラルナカ。この夏の予選からかなり楽しませてくれた。
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注目したのは’23-24のEL。当時の躍進を象徴するボードは破棄されずにそのまま置かれていたが再利用は可能なのだろうか。予選三回戦でセルビアのパルチザン、プレーオフではウクライナのドニプロに勝利して本選に。スタッド·レンヌ、ディナモ·キーフ、フェネルバフチェと同居したグループBでは三位でECLへ。覇者となるウエストハムの前にベスト16で屈したもののその健闘は賞賛に値する。
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パルチザンとの激闘再び 北欧の刺客にまさかの黒星
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さて今季の公式戦は七月のEL予選一回戦からスタート。相手はまたもパルチザン·ベオグラード。双方合わせて十六人のキッカーによるPK戦を制して二回戦へ。次の相手は昨季のECLで八強入りを果たしたスロベニアのNKツェリエ。こちらも合計3-2でクリアして三回戦に。ポーランドのレギア·ワルシャワでは分が悪いかと思いきや合計5-3で王手。本選に駒を進めるのはもう間違いないと予想したプレーオフでまさかの失態。ノルウェーの無名クラブに足を救われるとは。勝負の世界は油断大敵。何が起こるかは女神のみぞ知る。
駐車場に車を止めると自家用車で続々スタジアム入りする選手達と出くわす。AEKだけでなくこのスタジアムを本拠地とするのはアラディポウ。ラルナカ郊外北西部に隣接する人口二万人の都市のクラブ。今季はトップリーグに昇格しているがこの時は二部リーグを戦っていた。
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