99〗Estádio da Luz / リスボン

第99話はSLベンフィカの本拠地エスタディオ·ダ·ルス。十五年ぶりに足を踏み入れてみると電飾が鮮やか。この日自身大会通算五点目を決めたASモナコの南野拓実:Takumi Minamino【1995年1月16日】。日本人最多得点記録を更新して単独のトップに立ったが残り三分でベンチに下がってしまい3-3のドローに終わる。合計スコアが一点差での敗退となったモナコ。七月末のスーペルタッサでは守田英正:Hidemasa Morita【1995年5月10日生】がスタメン出場した昨季二冠のスポルティングCPも破っているから日本代表キラ-の悪役がすっかり板についたベンフィカ。三國志ではないが赤壁=レッドクリフは難攻不落に。赤壁を攻略した諸葛孔明の代名詞は羽扇。少年時代に出会った鷹の化身である師の遺言に従い、彼の羽根で作ったとされる逸話は、鷹ではなく鶴の説もある。
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塩漬けにしたオリーブの実はビールの御伴。グラスはスーパーボックでも注文したのはサグレス。今季もユニフォームの背番号の上にロゴが記されている。チケットの日付けは2010年4月1日エイプリルフール。UEFAヨーロッパリーグ準々決勝1stレグ。この年のベンフィカ指揮官はジョルジェ·ジェズス:Jorge Jesus【1954年7月24日生】。
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ラテン風味のジェズスベンフィカと機械仕掛けのベニテスリヴァプールく

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南米各国の代表級をズラリ並べるラテンカラー一色のベンフィカ。見事なほどポルトガル語圏とスペイン語圏で統一されたメンバー構成はこちらも南米の総力を結集した様相。筋金入りのクライフ信者のジェズス。攻撃のスイッチが入った瞬間、後方から追い越す動きのプレーヤ-がボールを繋いで津波のように押し寄せる。ト-タルフットボ-ルの流れを組むスタイルをこのメンバーで貫いていた。2008年ヴァレンシアから加わった”復活”パブロ·アイマール:Pablo Aimar【1979年11月3日生】を軸に据え、2009-10シーズンのベンフィカは国内では桁違いの強さで白星を重ね五シーズンぶりのリ-ガ優勝を果たす。惜しむらくは、前年CLの出場資格を逃していたことである。
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一方相手はイングランドの本家レッズ。筆者も『リスボンからの誘い』にのり、アムステルダムからの空路移動。市街に繰り出し何故かビールを飲むレッズサポーターと意気投合して一緒にあの曲を合唱する。ビールの銘柄はサグレス。カールズバーグしか飲まないわけでもないらしい。堅守速攻をベースにカップ戦のスペシャリトと一目置かれるラファエル·ベニテス:Rafael Benitez【1960年4月16日生】のリヴァプールを初代王者に推す声が多いのは当然。名称もヨーロッパリーグに変更して大会の注目度もアップしている。ベニテスの名前はヴァレンシアでの国内制覇とUEFA杯獲得により日本にも伝わっていた。負傷も重なりスペインで不遇の時を過ごしたアイマールはルイ·コスタ:Rui Costa【1972年3月29日生】の薦めもありベンフィカでの再起を誓い『リスボンに誘われて』ポルテーラ空港に降り立った。
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2005年の来日はスティーヴン·ジェラード:Steven Gerrard 【1980年5月30日生】を擁してもサンパウロに遮られ世界一の称号まで手が届かず。それでも敗者の美学が漂う華やかさと歴史的重厚感を備えたクラブは欧州代表に相応しかった。ベニテスとアイマール、ヴァレンシア時代は師弟関係にあった両者の対戦も話題になり、同色をチームカラーとする両クラブのサポーターで真っ赤に膨れ上がったルスの発表入場者数は62,629人。
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