27〗RheinEnergieStadion / ケルン

翌(16)年の五月ウィーンのエルンスト·ハッペルを取材。もちろんお目当てはアヤクシートを地獄へと突き落としたカインツとシャウブ。
この日は両者とも得点に絡むことはなかったが共に卓越したボールコントロールとアジリティ=敏捷性に優れている。長短のパスを巧みに操り、スプリントスピード·俊敏性に秀でているのがカインツだとすると得点感覚と創造性に優れているのがシャウブ(下写真右)だろうか。
翌週の最終節アドミラ戦がヴェルダー·ブレーメンに移籍するカインツにとってラピドでのラストゲ-ム。1-3で勝利したラピドの全得点をアシストして有終の美を飾ったカインツ。惜別の先制ゴ-ルを決めたのがシャウブだった。二人がラピドで共にプレーしたニシーズンで
カインツは84試合に出場15得点29アシスト、足首の負傷に泣かされた期間もあるシャウブも67試合17得点10アシストの数字が両者のスタイルを証明している。

オーストリアでドイツで国際舞台で 交差するフットボーラー人生

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冒頭のアイルランド線。ピッチに立つ機会はなかったもののベンチには当時二十二歳のシャウブの姿も。そのシャウブは九月のジョージア戦
負傷したダビド·アラヴァに代わり前半38分分トップ下のポジションに入ると五分後に同点ゴール。この試合はカインツはスタメンで右サイドに入り並んでのプレー。翌月のセルビア戦は1-1の状況で後半16分カインツをシャウブと交代。後半残り時間一分にエリア外からゴール前にシャウブの放ったクロス気味のボールはマルコ·アルナウトヴィッチ:Marko Arnautovic【1989年4月19日生】が触ることなくサイドネットを揺らして決着。翌週のモルドヴァ戦は背番号10はスタメン。期待に応え決勝弾を左足で突き刺す。三戦連発のシャウブの横でカインツも随所に好プレーを見せていたのだが得点には結びつかなかった。

三十節のプロセインミュンスター戦のピッチに立った十一人の顔ぶれを見ると最古参はカインツ。今季はここまでスタメンと途中出場が半々、かつてのスピードは失われたものの変わらぬパスセンスとキックの精度、またキャリアを重ね戦術眼、展開力が磨かれセントラルミッドフィルダーとしての起用が増えた。一方シャウブは今季古巣ラピドへと復帰。今月13日のウィーンダービーでは途中出場からアシストを記録し手存在感を発揮。2-0の勝利に貢献しており、主将章を巻いてのスタメンながら逆転負けを喫した前回(二月)の対決時の借りを返した。三十を過ぎた
カインツとシャウブ。かつての躍動感は影を潜めたても熟練の妙技には感じ入るものがある。いつか二人のフットボーラー人生がまた交差する未来はあるのかもしれない。〖第二十七話了〗


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⏹️写真/テキスト:横澤悦孝 ⏹️モデル:辻美咲