シャーキッチが去った後は、五試合五分けとトップリ-グで苦闘が続く。両目がようやく開いたのは師走の十四節。去る人がいれば来る人も。年明け四日アトロミトス戦では残り五分加入直後のヴィクトル·クロナリディス:Victor Klonaridis【1992年7月28日生】がピッチ上に登場した。彼にとってもアトロミトスは古巣。21から23シ-ズンの二年間を過ごしている。
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この元ベルギ-U20代表の父親はギリシャ人。母親がフランドル系ベルギー人。ベルギーで生まれ幼少期をアフリカのウガンダで過ごしたユニ-クな経歴。トルコの二部ウムラニエスポルトの契約を解除したのは前年十一月。念願のギリシャ一部へと復活。降格圏に低迷するクラブで期待されたが、怪我もあって出場は計十二試合、時間は一試合平均四十分にも満たない。そして結果はノーゴール。かつてパナシナイコスやAEKアテネでの活躍を知るものには物足りなく、些か寂しくもなる。
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写真はウィ-ンでのUEFAヨーロッパリーグを撮影したAEK時代のクロナリディス。敵陣を切り裂く単独長距離ドリブルは迫力がある。キフィシアで唯一勝利に貢献、足跡を残したアシストは、筆者がギリシャを離れてから。四月のPLAY-OUT:五節。決勝ゴールをアシストして逆転勝利した相手はまたもアトロミトスだった。
しかし六節最終(七)節と連敗を喫したキフィシアは僅か一年で無念の二部降格。
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三月二日取材した試合はトップチームではなくU19。最終戦の対戦相手はパネトリコス。アテネから北西二百八十キロ離れたアグリニオのクラブ。翌日にはトップチームも同じ顔合わせ。試合はソティリス·コントゥリス:Sotiris Kontouris【2005年2月24日生】がセントラルミッドフィルダーながら二得点を決めてアウェーチームの完勝。この年代では国内トップクラスの技量の持ち主。二十日後に行われたU19欧州選手権予選のデンマーク&セルビア戦は二試合ともフル出場。デンマーク戦では右サイドの高い位置でプレーしており183cmの長身ユーティリティープレーヤー。
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若者達の外連味のないプレーを目のあたりにしながら、頭に思い浮かべたのは高齢化に悩む同国の現状。’09年の財政破綻から奇跡的ともいえる復活を果たしたが、約五十万人のギリシャ国民が他国へ移住。その大半を占めるのが高学歴の若者。
これは隣国ブルガリアも同様に頭を抱える問題。若き俊英が西欧へと流れる問題はフットボールに限った事ではない。内閣が新労働法を可決、週六日勤務制の導入したのは一昨年だったろうか。その背景には深刻な高齢化と人口減少と聞いてしまうと納得せざるを得ない。
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昇格への切り札 ガウショのミッドフィルダ-が加入
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さて、今季二部南地区を戦い抜き優勝。見事一年でトップリ-グに返り咲いたキフィシア。あの日あの時は■2025年5月4日ギリシャ·スーパーリーグ2プレ-オフ最終戦AEキフィシア対イリオポリ
昨季のクロナリディス同様、年明けに歴戦の猛者を補強している。ヴォロスNPSから獲得したのはアルへンティ-ナ。パラグアイとの二重国籍らしい。
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