Foot ball Drunker〔156〕visiting『Stadion Lokomotiv 』ソフィア/ブルガリア


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第156話はロコモティブ·ソフィアの本拠地 ロコモティフ·スタジアム。その名が示すとおり、モスクワやザグレブ同様、鉄道勤務の職員によって設立されたフットボールクラブ。長く二部に低迷していたかつての名門は2021年に一部復帰を果たす。
欧州の舞台で最後に輝いたのは2006-07シーズンの9月14日UEFA杯(現ヨーロッパリーグ)一回戦はフェイノールトとのホーム初戦。前半の二得点でスタジアムは歓喜に包まれるが、後半同点に追いつかれて消沈、敵地では0-0ドロ-決着となればアウェーゴール差に泣かされての敗退。


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ところがそのフェイエノールトも11月30日のナンシー戦で現地警官とフェイエノールトサポーター3000名による大乱闘。コンペティションから追放されてしまったが催涙ガスを使用し関係のないオランダ人まで拘束した警察の対応にも問題あり。結局有耶無耶となり闇に葬られた欧州蹴球暗黒史の一頁。

ロコモティブ·ソフィアがUEFA杯でフェレンツバロシュ、モナコ、ディナモ·キーフ(当時キエフ)を下しベスト8まで勝ち上がったのは44年前。VfBシュツットガルトに敗れ四強進出ならず。結果ボルシアMGに、バイエルン、フランクフルトとドイツ勢が四つの椅子を独占。当時欧州最強リーグは文句なしにブンデスリーガだったことを証明している。


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ドイツとブルガリアは地理的にはチェコ、ハンガリー、ルーマニアやセルビアと各国を挟んでおり距離こそ離れているのだが、20世紀に入ってオーストリア=ハンガリー帝国やドイツなどドイツ語圏から産業が移入される一方、文化面でも大きな影響を受けている。ブルガリアのビール醸造も前述のチェコや本場ドイツの知識と技術が用いられており各地の地ビールが美味いのも当然。
考えてみればブルガリアはドイツの同盟国として第一次、二次の両大戦で敗戦している貴重な歴史がある。
最後の写真はハスコヴ行きの列車に乗ったソフィアの中央駅。ビールを飲みながらでも都市間を移動できるのだから、鉄道会社と勤務する職員の皆さまには深く感謝しなければならない。[第156話了]


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⏹️写真/テキスト:横澤悦孝  ⏹️モデル:はちこ