マジャ-ル語のオ-ストリア産缶ビ-ルはレモン風味
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帰国翌日に第45話を寄稿以来、随分間をおいてしまい約二週間ぶりの第46話。この間何をしていたかと言うと、参院選の投票日を挟んでネットで只管情報収集に時間を費やしていた。
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一枚目の写真はオーストリアを代表する麦酒銘柄《Gösser》のレモンビ-ル。撮影したのは昨秋十一月のブダペスト。缶の下に記されたTermészetes alapanyagokbólの文字は天然材料使用の意味。今月の参院選で吹き荒れたのはレモンではなくオレンジ旋風。どちらかといえばオーガニック推奨はリベラル派の主張だったはず。
お隣さんでも異なる点の多い両国。そもそも国家の舵取り役の決め方からして違う。ハンガリ-が小選挙区制度を採用しているのに対してオーストリアでは、比例代表制にて行われる。ちなみに前回取り上げたポ-ランドは半大統領制なる日本人にとっては馴染みの薄いやり方。
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自由党五十七議席、国民党を六議席上回りトップに立つも
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年が明けてもウクライナ支援で結束を固めたいEUではあるが、あいも変わらず親露の姿勢を頑なに崩さないのが異端児ハンガリ-。NATO非加盟の永世中立国オーストリアも対ロシアに対してはEUに歩調を合わせてきたのだが、ここにきて各国で右派政党が勢力を拡大する潮流にのっかり、何と極右の自由党が第一党になってしまった昨秋九月末の総選挙。但し日本とは異なり単独政党による過半数の票数獲得の壁はおそろしく分厚い。政権は連立協議を経て決まるのが当たり前。オーストリアにしても1983年からの連立政権が現在まで長く続いている。
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ナチ残党がつくった政党の掲げるオーストリアファースト
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’99年に第二党に躍進し僅差の国民党と連立した自由党が’17年にも第三党の立ち位置で連立メンバーに復帰している。この年には日本でも[都民ファーストの会]が創設されている。嘘か誠か元ナチス党員が1956年に創設したとされる自由党が《オーストリア第一》を掲げたのは2011年のグラーツ。ちなみに地方=州ではザルツブルク州やウィーンを囲むニーダーエスタライヒ州では国民党と連立を組んだ実績もあるのだから馬鹿にはできないこの極右政党。’17年支持された背景には2015~16年に起こった深刻な難民危機がある。
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そしてこの時から横這いだった庇護要請の件数が一気に跳ね上がったのが’22年。EUが発表した難民申請件数によると、ドイツに次いで二位がオーストリアだから堪ったものではない。となると国民一人あたりに対する受け入れの比率をはじけば当然欧州一。また保護者無しの未成年者難民の件数でもトップという貴重な数字も。ここは結構重要なポイントである。
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第46話はウィーン第19区デープリングにあるシュタディオン·ホーエ·ヴァルテ。収容人員は現在でこそ五千五百人と控え目ではあるが、開場間もない1923年に行われたイタリア代表チームの試合には約八万人の観客が詰めかけている。現在本拠地として使用しているのはファースト·ヴィエナ·フットボールクラブ1894。その名のとおりオーストリアで最古のクラブで昨年創設百三十周年を迎えた。
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