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写真はアテネ市街で撮影。日本人が知らないだけで、イングランドリーグカップの冠スポンサーも務めるタイの栄養ドリンク大手カラバオ社の欧州における人気知名度は驚くほど高い。国内では昨秋ビール市場に本格参入。大手財系二社に挑戦状を叩きつけたばかり。
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そのカラバオの創業者ピェンポンサント氏は、トップチームとクラブのアカデミーの両方に投資することも約束した。確かに補強された顔ぶれも曲者揃い。ムスクロンの主将を務めていたのがエムバイェ·レイェ:Mbaye Leye【1982年12月1日生】。スタンダールとのアウェー戦を撮影しているが2007年のズルテ·ワレヘムを皮切りにヘント、スタンダールでもプレーしているから古巣との対戦。セネガルのビルケラーヌ出身でワレへム所属時の13年にはエボニー·シューを獲得している。下写真は翌年ロケレン在籍時の2014年に撮影。ムスクロン同様今は無きロケレンでの姿が懐かしい。
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この日宿舎に戻るとリビングでTVで画面に視線を向ける子供たち。その胸には数時間前に見たばかりのエンブレムが。2017年からLOSC会長を務めるジェラール·ロペス·フォハカ:Gérard López Fojaca【1971年12月27日生】が20年5月ムスクロンのオーナーに就任したことでフランスのクラブとも復縁。
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ムスクロン市内東部には、21ヘクタールの敷地に12面のコートを擁するフュチュロススポーツ:Futurosportがある。かつてロイヤル エクセル ムスクロンのトレーニングセンターとしても活用されていた。ベルギー国内最大級のスポーツ施設及びアカデミー育成組織。2008年に新たな非営利組織 Futur Aux Sportsが設立されており、障害者サッカー選手権を開催してもいる。これまでムスクロン地域の学校とのパートナーシップを構築しており、2026年には新たに全寮制の学校を施設に設ける計画が進行中。
元フランス代表 ニコラス·アネルカ:Nicolas Anelka【1979年3月14日生】がフュチュロススポーツでUEFAのBコーチングライセンス取得のため一週間を過ごしたのは昨年11月。指導者に専念かと思いきや、年明けトルコ二部のウムラニエスポルの最高経営責任者(CEO)に就任したから苦笑。
最後の写真はムスクロンアカデミーの子供たちとの印象に残ったエピソードをひとつ。この写真を撮影する前、コーチにフットボールの取材で欧州を巡っている日本人である旨伝えると、子供達が、誰に言われるでもなく、一人ずつ筆者に手を差し伸べてきた。
息子の小学生時代に、審判をしていたから試合前、子供たちと順番に握手した当時を思い返すと恥ずかしげで何処か形式的にやらされている感は否めない。日常で握手する文化が日本には根付いていない。
それに比べてこのムスクロンの子供達のしっかり相手の眼を見て僅かに口角を上げた見事な握手っぷり。日本のお辞儀にも劣らない礼儀正しさに小さな驚きと感動を覚えた。彼らとの出逢いから四年後の22年。ロペス氏に見切りをつけられると財務不正が発覚、1,000万ユーロの負債を理由にプロライセンスは剥奪され、破産を申請。その歴史に終止符がうたれてしまったものの、成長した少年たちは新たなエンブレムを胸に今もフットボールを続けているに違いない。